2026年7月13日、医学誌「The Lancet Oncology」にて、ホルモン受容体(HR)陽性/HER2陰性の局所進行または転移・再発乳がんを対象に、初回治療中のリキッドバイオプシーにより獲得耐性変異であるESR1変異の出現を画像上の増悪前に検出して早期に治療を変更する戦略を検証した、
国際多施設共同ランダム化第3相臨床試験(SERENA-6)の解析結果が報告された。
試験デザイン
対象
HR陽性/HER2陰性の局所進行または転移・再発乳がんのうち、初回治療として「アロマターゼ阻害薬(アリミデックス[一般名:アナストロゾール]またはフェマーラ[一般名:レトロゾール])+CDK4/6阻害薬(イブランス[一般名:パルボシクリブ]、ベージニオ[一般名:アベマシクリブ]、またはリボシクリブ)」を6ヵ月以上投与されている患者(3,256例がctDNAスクリーニングに参加)
レジメン(治療法)
リキッドバイオプシーによる腫瘍循環DNA(ctDNA)解析からESR1変異陽性が確認され、かつ画像上の増悪を伴わない患者を、2群に1:1でランダムに割り付け。
試験群:エトカマ+直前の治療と同量のCDK4/6阻害薬(n=157)
対照群:直前のアロマターゼ阻害薬+CDK4/6阻害薬を継続(n=158)
評価項目
主要評価項目:無増悪生存期間(PFS)
副次評価項目:PFS2(ランダム化から初回増悪後の次治療における画像上の病勢進行または死亡までの期間)
結果
有効性
主要評価項目であるPFSの中央値は、試験群で16.8ヵ月(95%信頼区間:14.7-19.4)に対して対照群で9.2ヵ月(95%信頼区間:7.2-9.7)であり、過去の中間解析と同等の結果が認められた(ハザード比:0.45、95%信頼区間:0.34-0.59、P<0.0001)。
PFS2の中央値は、試験群で25.7ヵ月(95%信頼区間:20.4-30.3)に対して対照群で19.1ヵ月(95%信頼区間:16.8-21.0)であり、エトカマへの早期切り替えの有効性が認められた(ハザード比:0.63、95%信頼区間:0.46-0.86、P=0.0037)。
安全性
主なグレード3-4の有害事象は、好中球減少症(試験群27%、対照群17%)、好中球数減少(試験群23%、対照群19%)であった。また重篤な有害事象(SAE)は、試験群で15%(24例)、対照群で19%(29例)に認められた。
治験薬との関連が否定できない死亡例は計3例(試験群:エトカマ関連の可能性のある突然死1例、対照群:ベージニオ関連の可能性のある敗血症1例、レトロゾール関連の可能性のあるイレウス1例)報告された。
結論
HR陽性/HER2陰性進行乳がんの初回治療中にctDNA解析でESR1変異が検出された段階で、画像上の病勢進行を待たずにアロマターゼ阻害薬からエトカマへ切り替える戦略は、PFSを有意に改善し、初回治療の効果を持続させる可能性が示唆された。
参照元:
Switching to camizestrant at ESR1 mutation emergence before disease progression during first-line treatment of hormone receptor-positive advanced breast cancer (SERENA-6): extended analysis of a double-blind, placebo-controlled, randomised, phase 3 trial(Lancet Oncol 2026. Doi: 10.1016/S1470-2045(26)00287-1.)