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脳腫瘍におけるIDH遺伝子変異を画像データからAIで予測できるか:専門医 vs AIの検証 国立がん研究センターら

[公開日] 2026.07.24[最終更新日] 2026.07.21

国立がん研究センターは7月15日、脳腫瘍のひとつである神経膠腫における遺伝子変異(IDH変異)の有無について、MRI画像での人工知能(AI)による診断予測と専門医師等による予測とを比較評価した結果を報告した。同研究は、国立がん研究センターが理化学研究所、東海大学および全国の複数の医療機関と共同で実施したものである。 IDH変異は、神経膠腫の分類、予後予測、治療効果の判断に重要な指標であるが、現在の判定には手術や生検など侵襲的な検査が必要であった。そこで同研究では、MRI画像からIDH変異の有無を予測する2種類のAIモデル(従来型の画像認識技術を用いたGliomaDepth-IDHと、画像の重要な部分に注目する最新技術を用いたGliomaVista-IDH)が開発され、その予測性能と、18名の医師(神経放射線科医8名、脳神経外科医5名、脳神経外科レジデント5名)による読影結果とが比較された。 (画像はリリースより) その結果、海外患者の脳腫瘍画像データセットを使った場合には、従来型と最新型の両AIモデルにおいて、全ての医師グループを上回る予測性能が認められた。一方で、海外患者データセットで学習したAIモデルを日本人患者データで検証した結果、AIの予測性能の低下が認められた。この点に関しては、日本人患者データとは特徴が異なる「海外患者データ」が学習に使われたことが考えられ、”英語の文章で学習したAIが日本語の文章を読もうとするようなもの”と説明した。なお、この日本人患者データにおいては、一部の熟練医師(神経放射線科医2名、脳神経外科医1名)はAIモデルを上回る成績を示した。 以上の結果を踏まえ、日本人患者データで学習し直したAIモデルを使って検証したところ、日本人患者の予測でより良い性能を示したが、逆に海外患者データでの性能は低下した。また、GliomaVista-IDH(最新型)では、AUC(=遺伝子変異の有無の識別能力)が同じであっても、学習データによって正解率などが大きく改善することから、AIの臨床応用を評価する際には、AUCだけでなく、予測の信頼性や正解率などを総合的に評価する必要があることが示唆された。 今後更なるAIシステムの開発が進むことで、医療従事者の支援や診断の標準化に貢献することが期待され、神経膠腫における新たな診療体制の構築につながると考えられる。 なお同研究成果は、国際学術誌「npj Digital Medicine」オンライン版に7月10日付で掲載されている。 参照元: 国立がん研究センター プレスリリース
ニュース 脳腫瘍 AIIDH神経膠腫

浅野理沙

東京大学薬学部→東京大学大学院薬学系研究科(修士)→京都大学大学院医学研究科(博士)→ポスドクを経て、製薬企業のメディカルに転職。2022年7月からオンコロに参加。医科学博士。オンコロジーをメインに、取材・コンテンツ作成を担当。

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