5月25日、厚生労働省薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会が開催された。同部会において、審議事項のうち6製品が、また報告事項のうち4製品ががん関連の薬剤であった。
審議品目
エトカマ錠75mg(カミゼストラント)
申請企業:アストラゼネカ
効能・効果:
「内分泌療法中にESR1遺伝子変異が確認され疾患進行が認められないホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。
エトカマは、経口投与の選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)。がん細胞においてエストロゲン受容体に結合し、分解を誘導することで、増殖シグナルを阻害すると考えられている。
既に経口SERDとしては、「内分泌療法後に増悪した」場合を対象として、イムルリオが承認されているが、今回は「内分泌療法中の病勢進行前」を対象としている点が特徴的である。
ティブソボ錠250mg(イボシデニブ)
申請企業:日本セルヴィエ
効能・効果:
「がん化学療法後に増悪したIDH1遺伝子変異陽性の治癒切除不能な胆道がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。
ティブソボは、変異型イソクエン酸脱水素酵素1(IDH1)を選択的に阻害する経口阻害剤。がん細胞における2-ヒドロキシグルタル酸(2-HG)産生を阻害し、IDH1変異陽性のがん細胞の分化を誘導することにより、腫瘍増殖を抑制すると考えられている。
今回の承認は、IDH1遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病(AML)に続く2つ目の適応である。
サークリサ皮下注1400mg(イサツキシマブ(遺伝子組換え))
申請企業:サノフィ
効能・効果:
「多発性骨髄腫」を効能・効果とする新投与経路医薬品。
サークリサは多発性骨髄腫の細胞表面に多く発現するCD38を標的とした抗体薬。CD38に結合し、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞貪食(ADCP)及び補体依存性細胞傷害(CDC)活性、またアポトーシスを誘導することで、がん細胞の増殖を抑制すると考えられている。
サークリサは現在点滴静注製剤として承認されている。今回皮下注製剤が承認されることで、投与に要する時間の大幅な短縮が可能になり、患者や医療従事者の負担軽減などが期待されている。
イソトレックスカプセル8mg、同カプセル16mg(イソトレチノイン)
申請企業:サンファーマ
効能・効果:
「大量化学療法後の神経芽腫」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。
神経芽腫は、小児の固形がんにおいては脳腫瘍に続いて罹患率が高いがんである。
イソトレックスはビタミンA類似薬であり、がん細胞の正常細胞への分化を誘導することで、抗がん活性を示すと考えられている。
レットヴィモ錠40mg、同錠80mg、同カプセル40mg、同カプセル80mg(セルペルカチニブ)
申請企業:日本イーライリリー
効能・効果:
①「RET融合遺伝子陽性の進行・再発の固形腫瘍」を効能・効果とし、小児用量を追加する新用量医薬品。②「RET遺伝子変異陽性の根治切除不能な甲状腺髄様がん」を効能・効果とし、小児用量を追加する新用量医薬品。希少疾病用医薬品。
レットヴィモは、経口のRET受容体型チロシンキナーゼ阻害剤。
現在の承認においては、成人と12歳以上の小児の用法・用量がそれぞれ設定されているが、今回の承認により、用量の下限が2歳以上の小児に変更される。
ミンジュビ点滴静注用200mg(タファシタマブ(遺伝子組換え))
申請企業:インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパン
効能・効果:
「再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。
ミンジュビは、がん化したB細胞の膜上に発現するCD19に対する抗体薬。CD19に結合し、抗体依存性細胞傷害(ADCC)作用および抗体依存性細胞貪食(ADCP)作用をするとともに、がん細胞のアポトーシス誘導作用を示すことにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている
ミンジュビにとって「再発又は難治性の濾胞性リンパ腫(FL)」に続く2つ目の適応となる。DLBCLに対しては、レナリドミドとの併用で用いる。
報告品目
テビムブラ点滴静注100mg(チスレリズマブ(遺伝子組換え))
申請企業:ビーワン・メディシンズ
効能・効果:
「治癒切除不能な進行・再発の胃がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。
テビムブラは抗PD-1抗体のひとつ。同様の薬剤としては、オプジーボ(一般名:ニボルマブ)とキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)が承認されている。
なお今回の承認は、テビムブラにとって「根治切除不能な進行・再発の食道がん」に続く2つ目の適応となる。
イミフィンジ点滴静注120mg、同点滴静注500mg(デュルバルマブ(遺伝子組換え))
申請企業:アストラゼネカ
効能・効果:
「胃がんにおける術前・術後補助療法」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。
イミフィンジは抗PD-L1抗体のひとつであり、今回の承認によって、早期胃がんの周術期治療の適応を持つ国内初のがん免疫療法となる。
術前の2回および術後2回目までは化学療法(フルオロウラシル、レボホリナート、オキサリプラチン及びドセタキセル)との併用において使用される。
なお早期がんの周術期治療としてのイミフィンジの承認は、膀胱がん、非小細胞肺がんに続く3つ目の承認である。
タービー皮下注3mg、同皮下注40mg(トアルクエタマブ(遺伝子組換え))
申請企業:ヤンセンファーマ
効能・効果:
「再発又は難治性の多発性骨髄腫(標準的な治療が困難な場合に限る)」を効能・効果とする新用量医薬品。
テクベイリ皮下注30mg、同皮下注153mg(テクリスタマブ(遺伝子組換え))
申請企業:ヤンセンファーマ
効能・効果:
「再発又は難治性の多発性骨髄腫(標準的な治療が困難な場合に限る)」を効能・効果とする新用量医薬品。
タービーは、骨髄腫細胞のGPRC5DとT細胞のCD3を標的とした二重特異性抗体。テクベイリは、骨髄腫細胞のBCMAとT細胞のCD3を標的とした二重特異性抗体。いずれもがん細胞とT細胞を架橋することで、T細胞のがん細胞に対する攻撃を活性化すると考えられている。
いずれの薬剤も既に単剤として承認されているが、今回は併用投与としての承認である。
参照元:
厚生労働省 薬事・食品衛生審議会(薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会)