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HER2陽性の早期乳がん周術期治療における化学療法省略戦略の検討 Annals of Oncologyより

[公開日] 2026.05.29[最終更新日] 2026.05.29

2026年5月6日、医学誌「Annals of Oncology」にて、HER2陽性の早期乳がんを対象に、術前薬物療法における化学療法の省略「de-escalation(治療緩和)戦略」を評価した第2相試験(PHERGain-2)の結果が報告された。

試験デザイン

対象

未治療のHER2陽性(IHC 3+)、リンパ節転移陰性、腫瘍径5-30mmの早期乳がん患者(396例)

治療法(レジメン)

術前療法は、ハーセプチン(一般名:トラスツズマブ)+パージェタ(一般名:ペルツズマブ)併用療法(HP療法)。 ホルモン受容体陽性の場合は内分泌療法を併用。 術後療法は、手術時の病理学的奏効に応じた治療を実施。 コホートA(pCR達成):HP療法(化学療法なし) コホートB(浸潤がん残存):カドサイラ(一般名:トラスツズマブ エムタンシン;T-DM1) コホートC(リンパ節転移陽性):医師の判断で化学療法を追加後、カドサイラ投与

評価項目

主要評価項目:治療開始1年後の健康関連QOL(HRQoL)の低下率、および3年無再発率 副次評価項目:pCR率、安全性など

結果

有効性

術前療法(HP療法単独)後の手術において、236例(59.6%)がpCRを達成した(コホートAに登録)。 この数値は、標準的な「化学療法+HP療法」を施行した場合のデータと同等の良好な結果であった。 また、生活の質に関しては、治療開始1年時点でのHRQoLが10%以上低下した割合は、全体で42.8%、pCR達成症例で37.3%、非pCR集団では51.9%であり、化学療法を回避できたpCR群において、より良好なQOLが維持される傾向が示された。

安全性

主な治療関連有害事象(TRAE)の発現率は86.6%であったが、グレード3以上は5.6%であった。 重篤な有害事象(SAE)は6.1%に発現が認められ、カドサイラ投与に関連した肺臓炎による死亡が1例(0.3%)認められた。

結論

PHERGain-2試験において、HER2陽性早期乳がんに対する「HP療法単独」の術前療法は、標準的な化学療法併用群に劣らない高いpCR率を示した。また、このpCRガイド下の治療緩和戦略により、高いHRQoLの維持も示唆された。 3年無再発生存率のデータが出るまで、追跡が続く予定である。 参照元: A chemotherapy-free, pathological response-adapted strategy using trastuzumab-pertuzumab and T-DM1 in HER2-positive early breast cancer: the PHERGain-2 study(Ann Oncol 2026 Doi: 10.1016/j.annonc.2026.01.013.)
ニュース 乳がん 周術期

浅野理沙

東京大学薬学部→東京大学大学院薬学系研究科(修士)→京都大学大学院医学研究科(博士)→ポスドクを経て、製薬企業のメディカルに転職。2022年7月からオンコロに参加。医科学博士。オンコロジーをメインに、取材・コンテンツ作成を担当。

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