2026年4月、医学誌「Lancet Oncology」にて、B7-H3を標的とした新規の抗体薬物複合体(ADC)イフィナタマブ デルクステカン(I-DXd)の
第1/2相試験(NCT04145622)において、治療抵抗性の進行固形がんに対する良好な抗腫瘍活性と安全性の結果が報告された。
試験デザイン
対象
米国および日本の10施設で登録された、標準治療に抵抗性を示す進行固形がん(小細胞肺がん、食道扁平上皮がん、去勢抵抗性前立腺がん、扁平上皮非小細胞肺がん、頭頸部扁平上皮がん、膀胱がん、肉腫、子宮内膜がん、メラノーマ、乳がん)の患者(合計97例)
治療法(レジメン)
イフィナタマブ デルクステカンを0.8〜16.0mg/kgの用量で3週ごとに静脈内投与
評価項目
主要評価項目:用量漸増試験における安全性プロファイル(用量制限毒性:DLT、有害事象)
副次評価項目:4.8 mg/kg以上の用量が投与された症例における抗腫瘍活性
結果
2019年10月25日から2022年7月13日までの間に、97例の患者が登録された。患者の内訳は、男性77例(79%)、女性20例(21%)、白人56例(58%)、日本人を含むアジア系31例(32%)であった。
安全性
用量漸増パートにおいて3名(3%)に用量制限毒性(DLT)が認められたが、プロトコルで定義された最大耐用量(MTD)には達しなかった。
グレード3以上の主な有害事象(TEAE)は、貧血(18%)、好中球減少症(4%)、リンパ球数減少(3%)、好中球数減少(3%)などであった。
31例(32%)に重篤なTEAEが認められた。また5例(5%)で死亡に至るTEAE(肺炎、誤嚥性肺炎、COVID-19肺炎、間質性肺疾患、および原因不明の死亡が各1例)が報告されたが、そのうち間質性肺疾患については、治験責任医師により治験薬との関連があると判断された。
有効性
追跡期間中央値8.6ヶ月時点において、有効性評価が可能であった70例(4.8mg/kg以上の用量を投与)の客観的奏効率(ORR)は34%(95%信頼区間:23-47%)であった。
結論
新規ADCであるイフィナタマブ デルクステカンは、幅広い固形がんにおいて有望な抗腫瘍活性を示し、さらなる検証を支持する結果が得られた。一方で、最大耐用量には達しなかったものの、治療に関連した間質性肺疾患による死亡例が認められたことから、今後の臨床試験においては適切な安全性管理が重要となる。
参照元:
Ifinatamab deruxtecan, a B7-H3-directed antibody-drug conjugate, in patients with advanced solid tumours (IDeate-PanTumor01): dose-escalation results from a phase 1/2 trial(Lancet Oncol 2026 doi: 10.1016/S1470-2045(25)00733-8.)