3月2日、厚生労働省薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会が開催された。同部会において、審議事項のうち3製品が、また報告事項のうち4製品ががん関連の薬剤であった。
審議品目
エンハーツ点滴静注用100mg(トラスツズマブ デルクステカン(遺伝子組換え))
申請企業:第一三共
効能・効果:
「HER2陽性の進行・再発の固形がん(標準的な治療が困難な場合に限る)」を対象疾患とする新効能医薬品。
エンハーツは、抗HER2抗体にトポイソメラーゼⅠ阻害剤が結合している抗体薬物複合体(ADC)である。
既に乳がんや胃がん、非小細胞肺がん(ただしHER2遺伝子変異)に関して適応を取得しているが、今回はがん種横断的な治療選択肢となる見込みだ。
ニュベクオ錠300mg(ダロルタミド)
申請企業:バイエル薬品
効能・効果:
「アンドロゲン受容体陽性の根治切除不能な進行・再発の唾液腺がん」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。
ニュベクオは、アンドロゲン受容体(AR)に対するアンドロゲンの結合を競合的に阻害する経口剤である。ARは転写因子であるため、ニュベクオによる阻害を受けることで標的遺伝子の転写が遮断され、ARを介したシグナル伝達が阻害されることで、アンドロゲン依存性腫瘍の増殖が抑制される。
今回承認の対象となった唾液腺がんの治療には、ARの状態にかかわらず化学療法による治療が行われているが、予後不良であり、新しい治療選択肢が求められている。
ニュベクオは、AR陽性の唾液腺がんを対象に承認を得た初めての薬剤である。
ハイツエキシン錠10mg(リソバリシブメシル酸塩水和物)
申請企業:海和製薬
効能・効果:
「がん化学療法後に増悪したPIK3CA遺伝子変異を有する卵巣明細胞がん」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。
ハイツエキシンは、新規PI3Kα阻害剤である。
承認の対象となった卵巣明細胞がんは、上皮性卵巣がんの中でも悪性度の高い希少がんであり、PIK3CA遺伝子変異が高い確率で認められることが分かっているが、有効な治療法は確立されていなかった。
今回の承認申請は、国際共同臨床第2相試験(CYH33-G201)の結果に基づいて行われた。
報告品目
トロデルビ点滴静注用200mg(サシツズマブ ゴビテカン(遺伝子組換え))
申請企業:ギリアド・サイエンシズ
効能・効果:
「化学療法歴のあるホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がん」を対象疾患とする新効能医薬品。
トロデルビは、抗TROP2抗体とトポイソメラーゼ阻害剤が結合した抗体薬物複合体(ADC)である。
すでに化学療法歴のあるトリプルネガティブ乳がんに対して承認を取得しており、今回が2つ目の適応追加となる。
①ターゼナカプセル0.25mg、②同カプセル0.1mg(タラゾパリブトシル酸塩)
申請企業:ファイザー
効能・効果:
「遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺がん」を対象疾患とする①新効能・新用量医薬品、②新効能医薬品。
タラゾパリブは経口のPARP阻害剤である。
既にBRCA遺伝子変異陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺がんに対する承認を取得しているが、今回の承認により、BRCA遺伝子変異の状態にかかわらず使用できるようになる。
ルンスミオ皮下注5mg、同皮下注45mg(モスネツズマブ(遺伝子組換え))
申請企業:中外製薬
効能・効果:
再発または難治性の大細胞型B細胞リンパ腫を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。
ポライビー点滴静注用30mg、同点滴静注用140mg(ポラツズマブベドチン(遺伝子組換え))
申請企業:中外製薬
効能・効果:
再発または難治性の大細胞型B細胞リンパ腫を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。
ルンスミオは抗CD20/CD3二重特異性抗体で、現在は再発/難治性濾胞性リンパ腫(FL)の適応を持っている。またポライビーは、微小管阻害薬結合抗CD79b抗体(ADC)で、現在はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の適応を持っている。
今回の承認は、DLBCLやFLなどに関して併用投与を可能にするものである。
参照元:
厚生労働省 薬事・食品衛生審議会(薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会)