2025年11月18日、医学誌『Gastric Cancer』にて、転移性胃がんに対するコンバージョン手術の予後因子、安全性、および生存アウトカムを評価した、大規模多施設共同研究CONVO-GC-1試験の結果が日本から報告された。

試験デザイン

対象

CONVO-GC-1試験（IV期胃がんにおけるコンバージョン手術の現状、意義に関する国際多施設共同後ろ向き研究）に登録された日本人転移性胃がん患者（n=773）

治療法（レジメン）

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評価項目

臨床背景、術前後の化学療法、手術成績、術後合併症、生存率など

結果

解析対象となった773例のうち、カテゴリー*1、2、3、4にはそれぞれ345例、156例、225例、47例含まれていた。 *カテゴリー分類は、Yoshida. K et al. Gastric Cancer 2016に基づく。肉眼的に検出可能な腹膜播種がない（カテゴリー1および2）か、あるか（カテゴリー3および4）で大きく分かれる。更にカテゴリー1は、腫瘍学的にはIV期と定義されるが転移は技術的に切除可能な症例、カテゴリー2は、切除可能境界症例または手術が必ずしも最善の選択ではない症例、カテゴリー3は、肉眼的に検出可能な切除不能な可能性のある腹膜播種転移を有する症例、カテゴリー4は、腹膜転移および他臓器転移を伴う治癒不能な転移を有する症例を含む。 R0切除は571例（73.9%）で達成され、Clavien-Dindo分類 (JCOG術後合併症規準)のグレードIII以上の合併症発生率は12.0%、手術関連死亡率は0.1%であった。 R0切除患者の全生存期間（OS）の中央値は47.8ヶ月であり、カテゴリー1-4においてそれぞれ47.6ヶ月、116.6ヶ月、40.1ヶ月、54.4ヶ月であった。 多変量解析では、男性（ハザード比：1.70、95%信頼区間：1.30-2.22）、未分化組織型（ハザード比：1.35、95%信頼区間：1.04-1.75）、ECOGパフォーマンスステータス（PS）≥1（ハザード比：1.57、95%信頼区間：1.18-2.08）、ypT4（術前化学療法後、隣接臓器への浸潤あり）（ハザード比：1.79、95%信頼区間：1.38-2.33）、ypN+（術前化学療法後、リンパ節への転移あり）（ハザード比：1.92、95%信頼区間：1.42-2.58）、および術前化学療法継続期間<6ヶ月（ハザード比：1.43、95%信頼区間：1.10-1.87）が予後不良因子として同定された。

結論

本研究の結果から、コンバージョン手術は安全に実施可能であり、R0切除を達成した患者では良好な予後（OS中央値47.8ヶ月）が得られることが示された。 特に男性、未分化組織型、PS不良、進行度の高いypT/ypN+病期、術前化学療法継続期間が6ヶ月未満の患者など、不良な予後因子を持つ患者集団においては、慎重な選択が求められる。 参照元： Safety, survival outcomes, and prognostic factors in conversion surgery for advanced gastric cancer: a sub-analysis of Japanese patients in the CONVO-GC-1 study（Gastric Cancer. 2025 DOI: 10.1007/s10120-025-01683-x.）