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ROS1融合遺伝子陽性肺がんに対する新たな選択肢:従来のROS1阻害剤の課題克服に期待 日本化薬

[公開日] 2025.11.21[最終更新日] 2025.11.21

今年の9月に選択的経口ROS1阻害薬「イブトロジーカプセル 200mg(一般名:タレトレクチニブアジピン酸塩)」が「ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を対象として承認を獲得したことを受け、日本化薬株式会社主催のメディアセミナーが11月20日に開催された。 同セミナーで講演した林秀敏先生(近畿大学医学部 腫瘍内科)によると、近年の肺がんの傾向として、東アジア地域における非喫煙者(特に女性)のがんが増加しつつあることが挙げられる。そしてその原因のひとつが、ドライバー遺伝子の異常である。 同セミナーのテーマであるROS1融合遺伝子も、ドライバー遺伝子異常の一種であり、非小細胞肺がん(NSCLC)の1-2%が該当する。ROS1融合遺伝子は、野生型のROS1遺伝子が染色体上でパートナーとなる他の遺伝子(CD74、SLC34A2など)と融合することで生じ、その結果産生されるROS1融合タンパクにより、ROS1の下流シグナル伝達が恒常的に活性化され、がん細胞の増殖を引き起こす。 現在ROS1融合遺伝子陽性NSCLCに対する治療には、ROS1に対するチロシンキナーゼ阻害剤が使われる。既にザーコリ(一般名:クリゾチニブ)、ロズリートレク(一般名:エヌトレクチニブ)、オータイロ(一般名:レポトレクチニブ)という3つのROS1阻害剤が承認されており、いずれも初回治療に対する全奏効率(ORR)は約7-8割と高い。しかしながら、無増悪生存期間(PFS)が不十分であること、また二次治療としての効果が不十分であることなどの限界があると林先生。また安全性の観点では、視覚障害、めまい、味覚障害など、神経学的有害事象がしばしば問題になる。その他、中枢神経系の病変の制御、ROS1阻害剤使用後の多様な耐性メカニズムの同定・対策の難しさなども依然として残されている課題である。 このような背景の中、今回新たに承認となったのが、4つ目のROS1阻害剤であるイブトロジーである。承認の根拠となった臨床データは、グローバル試験であるTRUST-II試験および中国で実施されたTRUST-I試験。特にTRUST-II試験においては、コホート1(未治療症例)には55例中14例、コホート2(ROS1阻害剤既治療症例)には50例中11例の日本人が参加しており、ORRはそれぞれ80.2%(うち日本人では85.7%)と61.7%(うち日本人では70.0%)と高い奏効率を示した。 副作用に関しては、肝障害が多く発現するものの、大部分はGrade1-2であり、臨床試験で使った印象として毒性は管理可能であったことを林先生はコメントした。また、従来のROS1阻害剤で問題視されていた神経学的有害事象がイブトロジーでは顕著に改善。この点に関して林先生は、TRK(神経に発現が認められるタンパク)への作用が大幅に軽減され、ROS1に対する選択性が上がったことによるものと考えられるとコメントした。 また、TRUST-I試験とTRUST-II試験の統合解析(未治療:160例、ROS1阻害剤既治療:113例)においては、ORRは未治療症例で88.8%に対して既治療症例で55.8%。またPFSの中央値は、未治療例で45.6ヶ月と従来の2倍以上に改善しており、既治療症例においても9.7ヶ月と従来のものより高い効果が得られたことから、イブトロジーは初回・二次治療ともには有望な治療選択肢になることが期待されるという。 また林先生は、イブトロジーの頭蓋内客観的奏効率(IC-ORR)は未治療例で76.5%、既治療症例で65.6%と、いずれも有望な効果を示していること、更に従来のROS1阻害剤に対する代表的な耐性変異であるG2032R変異に対してもORRが61.5%と高い効果を示すことに言及した。 現在の肺癌診療ガイドライン上は、4つのROS1阻害剤の使用に関する優先度については記載がない。安全性を考慮しつつ、有効性が高い薬剤、また脳転移や耐性変異に対しても治療効果を示す薬剤を優先して使っていくことが基本であると林先生。「今後イブトロジーは、ROS1融合遺伝子陽性の肺がん患者さんに幅広く使われることが期待されます」(林先生) 質疑応答では、イブトロジーのコンパニオン診断薬について話題となった。現在イブトロジーのコンパニオン診断薬は「AmoyDx肺癌マルチ遺伝子PCRパネル(以下Amoy)」であるが、近畿大学を含め多くの施設で広く使われているのは「オンコマインDx Target TestマルチCDxシステム(以下オンコマイン)」である。この点について林先生は、「オンコマインでROS1融合遺伝子が同定された場合には、Amoyで再度検査をやり直します。イブトロジーはそれだけの価値がある薬剤だと思っています」とコメントした。 また、イブトロジーを初回治療として使用した場合の次治療が確立されていないことへの懸念に関しては、「確かに現時点ではイブトロジーの次に使えるROS1阻害剤はありませんが、既に新規のROS1阻害剤の開発が始まっているので、次の薬剤が承認されることを信じてイブトロジーで治療していくことになると思います。肺がんは薬剤開発が盛んな領域なので、治療中にまた新しい薬剤が使えるようになる、ということは十分に期待できると思います」と希望を語った。
ニュース 肺がん ROS1イブトロジータレトレクチニブ非小細胞肺がん

浅野理沙

東京大学薬学部→東京大学大学院薬学系研究科(修士)→京都大学大学院医学研究科(博士)→ポスドクを経て、製薬企業のメディカルに転職。2022年7月からオンコロに参加。医科学博士。オンコロジーをメインに、取材・コンテンツ作成を担当。

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