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慢性リンパ性白血病の治療の現状と新たな選択肢の登場 日本新薬
[公開日] 2025.11.04[最終更新日] 2025.11.04
10月30日、「CLL治療におけるアンメットニーズ、ジャイパーカによる新たなアプローチ」と題したセミナーが日本新薬株式会社により開催された。
今回のセミナーは、ジャイパーカ(一般名:ピルトブルチニブ)が9月19日、「他のBTK阻害剤に抵抗性又は不耐容の再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」に対する適応追加承認を取得したことが背景にある。
同セミナーでは、青木定夫先生(新潟薬科大学 医療技術学部長)から、CLL治療の現状とジャイパーカの位置付けについて講演があった。
慢性リンパ性白血病(CLL)は、悪性リンパ腫の中でもB細胞ががん化したものを指す。CLLは欧米と比較して日本では少ない疾患であり、遺伝的な要因も指摘されているが、明確な原因は不明である。
また、CLLは血液がんの中でも特に予後が良好であるという特徴を持つ。多くの場合診断されてもすぐの治療は不要であり、この点が、早期発見が重要とされている他のがんと違う大きな特徴だと青木先生。実際、CLLと診断された症例のうち、約3割は生涯無治療であるとのデータもあるとのこと。「がんがあるのにすぐの治療を始めないことが患者さんにとって不安になることもあるようですが、治療開始時期によって予後が変わらないこと、また治療介入が必要な基準がはっきりしているため、それまでは“普通の生活”で大丈夫です」(青木先生)
一方で、特に高齢の患者さんでは、倦怠感や減量などの症状が加齢症状と類似している場合もあり、患者自身が症状に気付かないことが多いので、無治療経過観察中は注意が必要であることもコメントした。
治療が必要と判断された場合の具体的な治療方針は、症状の有無や遺伝子変異、患者さんの状態によって決められるが、いずれにおいても治療の中心はBTK阻害薬である。
既に数多くのBTK阻害剤が使われているが、その作用機序は、BTKに共有結合することで機能を阻害するものである。一方、ジャイパーカは、初の“非”共有結合型のBTK阻害剤であるため、従来のBTK阻害剤に耐性となった場合にも効果が期待できる。「初回治療でBTK阻害剤を使って無効になった場合、BCL2阻害薬(ベネクレクスタ)+抗体薬(リツキサン)が唯一の選択肢で、それが無効だった場合は対応が困難でした。ジャイパーカはその『穴』を埋める薬剤です」(青木先生)
また、ジャイパーカの承認の根拠となった第3相BRUIN-CLL-321試験の結果から、BCL2阻害薬の治療歴がある症例においても、ジャイパーカの効果が期待できることが示唆されている。そのため青木先生は、今後ジャイパーカとBCL2阻害薬のいずれを先に使うかが今後の課題となるとコメントした。ただし、BCL2阻害薬の併用薬であるリツキサンが注射薬である一方で、ジャイパーカは経口薬であるという利便性にも言及し、「患者とその家族の方々にアンケート調査を実施したことがあり、治療に求めるものとして①有効性が高いこと、➁副作用がないこと、➂治療期間が決められていること、④飲み薬であることであることが分かっているので、ジャイパーカは使いやすさという点でもメリットがあり、今後実臨床の治療選択肢となることは間違いないと思います」と語った。
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