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切除可能膵がんに対する術前化学放射線療法の可能性:強度変調放射線治療を使った検討 -第63回日本癌治療学会学術集会-

[公開日] 2025.11.04[最終更新日] 2025.11.18

10月16~18日にパシフィコ横浜にて、第63回日本癌治療学会学術集会が開催された。「プレナリーセッション」にて、「切除可能膵癌に対する強度変調放射線治療を用いた術前化学放射線療法の有効性の検証」と題して穴澤貴行先生(札幌医科大学・消化器外科 / 京都大学大学院医学研究科・肝胆膵・移植外科)が発表した。 切除可能膵がんの治療は、先行手術あるいは術後化学療法が標準療法である一方で、術前療法については(日本では術前療法としてゲムシタビン+S-1がガイドライン上に記載はあるものの)、定まった治療がないのが現状だ。特に、化学療法に放射線療法を併用することの有効性については不明である。例えば、海外で実施されたPREOPANC試験では、先行手術に対する術前療法としてのゲムシタビン+放射線療法の有効性は示されておらず、またPREOPANC-2試験でも、術前療法としてのFOLFIRINOXに対してゲムシタビン+放射線療法の優位性は示されていない。 しかしながら、従来の化学放射線療法の検討における線量は不十分である可能性があり、まだまだ検討の余地がある。そこで今回穴澤先生らは、強度変調放射線療法(IMRT)を使用した術前化学放射線療法の有効性を検討した。穴澤先生は、IMRTの利点は、対象領域に選択的に高い線量を照射することが可能であり、短期間かつ比較的軽度の副作用で治療が完了でき、膵がんの治療に理想的ではないかと説明した。 今回の研究では、2013年から2021年の間に診断を受けた198人の切除可能膵がん患者のうち、基準を満たす130人を対象に検討が行われた(IMRT併用群:58例、先行手術群:72例)。また、そのうち計画された治療を完遂できた105症例(IMRT併用群:40例、先行手術群:65例)に関しても、転帰が評価された。 結果は、IMRT併用群における無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)の中央値はそれぞれ20.4ヶ月と50.4ヶ月であり、先行手術群(PFS:13.9ヶ月、OS:34.7ヶ月)と比較して統計的有意差は得られなかったものの、改善傾向が認められた。また、治療完遂症例のみに絞った解析では、PFSとOSのいずれにおいても、先行手術群と比較してIMRT併用群で統計的有意な改善が認められた(PFS:26.1ヶ月対16.1ヶ月, p=0.008、OS:66.7ヶ月対34.7ヶ月, p=0.007)多変量分析では、OSを改善する独立した要因として術前化学療法+IMRTの実施が同定された。 今回の結果から、切除可能膵がんにおける術前化学放射線療法は、先行手術よりも優れた治療効果を発揮できる可能性が示唆された。更に、適切な患者選択によって、術前のIMRTを用いた化学放射線療法がゲムシタビン+S-1療法よりも優れた効果を示す可能性があることから、腫瘍マーカーによって選択された切除可能膵がんを対象に、IMRTを用いた術前放射線療法の効果を検討する第2相試験が開始されている。 関連リンク: 第63回癌治療学会学術集会
ニュース 膵臓がん JSCO

浅野理沙

東京大学薬学部→東京大学大学院薬学系研究科(修士)→京都大学大学院医学研究科(博士)→ポスドクを経て、製薬企業のメディカルに転職。2022年7月からオンコロに参加。医科学博士。オンコロジーをメインに、取材・コンテンツ作成を担当。

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