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筋層浸潤性膀胱がんに対する術前・術後イミフィンジ、日本人サブ解析でも有効性を示す -第63回日本癌治療学会学術集会-
[公開日] 2025.10.27[最終更新日] 2025.11.18
10月16~18日にパシフィコ横浜にて、第63回癌治療学会学術集会が開催された。「JSCO 2025 “Frontier”3」のセッションにて、「MIBCに対する周術期デュルバルマブとNAC併用の第3相試験:NIAGARA日本人部分集団解析」と題して西山博之先生(筑波大学附属病院)が発表した。
NIAGARA(NCT03732677)試験では、筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)に対する術前・術後イミフィンジ(一般名:デュルバルマブ)+術前化学療法は、無イベント生存率(EFS)(HR 0.68; 95% CI、0.56-0.82; P<0.0001)を統計的に有意に改善することが既に示されていた。
今回は、同試験の日本サブグループ集団におけるEFSと安全性に関して、事前に計画された探索的分析が発表された。
合計121人の日本人(イミフィンジ群:62例、対照群:59例)が登録され、そのうち膀胱全摘術を受けた症例は、イミフィンジ群で92%、対照群で93%、またイミフィンジ群で膀胱全摘術を受けた症例のうち81%が術後にイミフィンジ療法を開始した。
追跡期間中央値47.5ヶ月時点において、日本人サブグループの12ヶ月無イベント生存率は、イミフィンジ群で85.0%に対して対照群で82.7%(グローバルの全体集団では76.0%に対して69.9%)、24ヶ月無イベント生存率は、イミフィンジ群で76.1%に対して対照群で73.9%(グローバルの全体集団では67.8%に対して59.8%)であった。
術前療法後から膀胱全摘術実施までの時間の中央値は、日本人サブグループにおいてイミフィンジ群で39日(18-83日)に対して対照群で39日(17-77日)であり、全体集団と類似していた。
治療関連グレード3/4の有害事象(AE)は、日本人サブグループにおいて両群とも44%に発生した。また治療の中止に至ったAEは、イミフィンジ群で31%に対して対照群で12%に発生した。
今回の探索的解析では、術前化学療法に対する術前・術後イミフィンジ併用療法が、日本人サブグループにおいても全体集団と同等の無イベント生存期間と安全性であることが示された。また、術前イミフィンジ療法が手術の実施時期や完遂率に影響しないことが示唆された。
ディスカッションでは、日本人集団の無イベント生存率が全体集団よりも良好な数値を示していることが指摘された。これは、日本人集団のパフォーマンス・ステータス(PS)が全体集団と比較して良好であることが考えられ、実臨床においてPS不良症例にどこまで同レジメンを使うべきかということが、今後の課題となりそうだ。また、術後療法としてのテセントリク(一般名:アテゾリズマブ)の効果を検討したIMvigor010試験において、ctDNA陰性症例には効果が低かった結果を受け、術後療法が全例に必要なのかどうか、今後の検討課題として挙げられた。
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