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ハイリスク筋層浸潤性尿路上皮がんに対する術後療法としてのオプジーボ、生存期間を改善 Annals of Oncologyより

[公開日] 2025.10.23[最終更新日] 2025.10.23

2025年10月17日、医学誌『Annals of Oncology』にて、ハイリスク筋層浸潤性尿路上皮がん(MIUC)を対象に、術後療法としてのオプジーボ(一般名:ニボルマブ)の有効性と安全性を評価した国際共同第3相二重盲検無作為化CheckMate 274試験の5年追跡の最終解析結果が報告された。

試験デザイン

対象

根治手術(R0切除、術前化学療法の有無は問わない)から120日以内に登録された再発リスクの高いMIUC患者

治療法(レジメン)

試験群:オプジーボを最長1年静脈投与(n=353) 対照群:プラセボを最長1年静脈投与(n=356)

評価項目

主要評価項目:無病生存期間(DFS) 主要な副次評価項目:全生存期間(OS) 探索的解析:ベースラインの血中循環腫瘍DNA(ctDNA)の予後への影響を評価

結果

既に術後療法としてのオプジーボが再発のリスクを低減することが示されていたが、本報告では長期的なベネフィットと、探索的ctDNA解析の結果が示された。

有効性

全体集団におけるDFSの中央値は、試験群で21.9ヶ月に対して対照群で11.0ヶ月であり、長期追跡後もオプジーボによる有意な改善が認められた(ハザード比:0.74、95%信頼区間:0.61-0.90)。 またPD-L1発現率1%以上の患者集団におけるDFSの中央値は、試験群で55.5ヶ月に対して対照群で8.4ヶ月であり、試験群で大幅な改善が認められた(ハザード比:0.58、95%信頼区間:0.42-0.79)。 OSの中央値は、試験群で75.0ヶ月に対して対照群で50.1ヶ月であり、試験群で有意な改善傾向が継続した(ハザード比:0.83、95%信頼区間:0.67-1.02)。 ctDNAの評価が可能であった133例中54名(40.6%)で、ベースラインのctDNAが検出された。ベースラインでctDNAが検出されなかった症例のDFSの中央値は52.1ヶ月であったのに対し、検出された症例では5.0ヶ月と極めて予後が不良であった(ハザード比:0.30)。ctDNA陽性症例において、試験群が対照群に対しDFSを大きく改善した(ハザード比:0.35)一方で、ctDNAが検出されなかった症例では、両群に差は認められなかった(ハザード比:0.99)。

安全性

既報の3年追跡の中間解析時点で最も一般的であった治療関連の有害事象は、そう痒、疲労、下痢などであった。今回の解析の時点では、既に両群ともに術後療法を終えており、新たな安全性の兆候は報告されなかった。

結論

CheckMate 274試験の5年追跡の結果は、ハイリスクMIUCに対する術後療法としてのオプジーボの持続的なベネフィットと、一貫した安全性プロファイルを裏付けるデータであった。 探索的ctDNA解析により、術後にctDNAが検出された症例は最も再発リスクが高いことが示され、今後の術後療法の個別化戦略に役立つ可能性が示唆された。 参照元: Adjuvant nivolumab versus placebo for high-risk muscle-invasive urothelial carcinoma: 5-year efficacy and ctDNA results from CheckMate 274(Ann Oncol. 2025 DOI: 10.1016/j.annonc.2025.09.139)
ニュース 膀胱がん オプジーボニボルマブ尿路上皮がん

浅野理沙

東京大学薬学部→東京大学大学院薬学系研究科(修士)→京都大学大学院医学研究科(博士)→ポスドクを経て、製薬企業のメディカルに転職。2022年7月からオンコロに参加。医科学博士。オンコロジーをメインに、取材・コンテンツ作成を担当。

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