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前治療歴のないHER2陽性進行胃がんを対象としたキイトルーダ+ハーセプチン+化学療法の患者報告アウトカム ESMO Openより

[公開日] 2025.10.09[最終更新日] 2025.10.08

2025年9月30日、医学誌『ESMO Open』にて、前治療歴のないHER2陽性進行胃がんを対象に、ハーセプチン(一般名:トラスツズマブ)+化学療法に対するキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)の追加を検討した国際共同第3相KEYNOTE-811試験の患者報告アウトカム(PROs)の探索的解析結果が報告された。

試験デザイン

対象

前治療歴のないHER2陽性進行胃がん患者

治療法(レジメン)

試験群:ハーセプチン+化学療法+キイトルーダ 対照群:ハーセプチン+化学療法+プラセボ

評価項目

PROによるベースラインからの変化、悪化までの期間(TTD)、および全体的な改善/安定率を評価した

結果

既にハーセプチン+化学療法に対するキイトルーダ併用により、無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)の改善が示されており、今回は治療中のQOLへの影響が評価された。 ベースラインから24週目までのQLQ-C30*のGHS(全般的健康状態)およびQOL(生活の質)スコアの平均変化に関しては、両群間に有意な差は観察されず(95%信頼区間:-4.23 to 1.91)、またEQ-5D-5L VASスコア**(EQ VAS)についても両群間で有意な差は観察されなかった(95%信頼区間:-3.06 to 1.68)。 *QLQ-C30:5つの尺度(身体面、役割面、認知面、心理面、社会面)と症状(疲労、嘔気/嘔吐、疼痛、呼吸苦、睡眠障害、食欲不振、便秘、下痢)、経済的困窮度、健康・総合 QOLを含む30の質問票 **EQ-5D:患者の健康状態とQOLを評価する「EQ-5D-5L」という5つの項目(移動の程度、身の回りの管理、ふだんの生活、痛み/不快感、不安/ふさぎ込み、の5つ))に関する質問票と、患者が自身の全体的な健康状態を直接「視覚的評価尺度(Visual Analogue Scale; VAS)」を用いて評価する項目を含む またTTDの中央値はいずれの群でも未到達であった。 QLQ-C30 GHS/QOLスコアにおいて、改善および/または安定したスコアを示した患者の割合は、試験群(71.9%)と対照群(71.5%)で同程度であった。 また事前に規定されたその他のすべての尺度/項目による評価でも、同様の結果が得られた。 なお、PRO質問票の回答率は両群ともにベースラインでは92%超、24週目では80%超であった。

結論

ハーセプチン+化学療法に対するキイトルーダ併用によって、臨床転帰は改善したが、治療中の健康関連の生活の質に悪影響は及ぼさなかった。これは、HER2陽性進行胃がんの第一選択治療として、ハーセプチン+化学療法+キイトルーダの3剤併用が適切であることを支持するデータである。 参照元: Pembrolizumab with trastuzumab and chemotherapy for HER2-positive advanced gastric cancer: health-related quality-of-life analysis from the randomized KEYNOTE-811 trial(ESMO Open. 2025 DOI: 10.1016/j.esmoop.2025.105542.)
ニュース 胃がん HER2キイトルーダペムブロリズマブ

浅野理沙

東京大学薬学部→東京大学大学院薬学系研究科(修士)→京都大学大学院医学研究科(博士)→ポスドクを経て、製薬企業のメディカルに転職。2022年7月からオンコロに参加。医科学博士。オンコロジーをメインに、取材・コンテンツ作成を担当。

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