2025年9月24日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対するPola-R-CHP療法とR-CHOP療法を比較した
国際共同第3相POLARIX試験の5年追跡結果が報告された。
試験デザイン
対象
未治療の中間リスクまたは高リスクのびまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者
治療法(レジメン)
Pola-R-CHP群:ポライビー(一般名:ポラツズマブベドチン)+リツキサン(一般名:リツキシマブ)+CHP(シクロホスファミド+ドキソルビシン+プレドニゾロン)
R-CHOP群:リツキサン+CHOP(シクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+プレドニゾロン)
評価項目
主要評価項目:無増悪生存期間(PFS)
探索的解析:完全奏効(CR)割合、全生存率など
結果
既に初回中間解析において、Pola-R-CHPがR-CHOPに対して有意なPFSの改善を示すことが報告されており、今回は長期追跡後のデータが報告された。
有効性
同試験は、22カ国879人が登録されたグローバル集団(Pola-R-CHP群440人、R-CHOP群439人)と、更に中国からの121人を加えた拡大コホート集団(各群500人)で解析が実施された。
グローバル集団において、5年時点のPFS率は、Pola-R-CHP群で64.9%、R-CHOP群で59.1%であり、Pola-R-CHP群で統計学的に有意なPFSの改善が認められた(ハザード比:0.77)。一方で、5年時点でのOS率はPola-R-CHP群で82.3%、R-CHOP群で79.5%であり、統計学的に有意な差は認められなかった(ハザード比:0.85)。
拡大コホート集団は、グローバル集団の結果と一貫しており、Pola-R-CHP群におけるPFSの統計的有意な改善が認められた一方で(ハザード比:0.80)、OSに有意な差はなかった(ハザード比:0.83)。また、リンパ腫の進行に関連する死亡は、Pola-R-CHP群で46人に対してR-CHOP群で62人であり、Pola-R-CHP群の方が少ない傾向を示した。
安全性
安全性に関しては、グローバル集団および拡大コホート集団において、概ね一貫した傾向を示し、長期追跡後も両群において新たなリスクは認められなかった。
Pola-R-CHP群とR-CHOP群の血液毒性および感染症の差は5%未満であり、二次がんの発生は5人に対して12人であった。
結論
POLARIX試験の5年追跡結果は、Pola-R-CHP療法がR-CHOP療法と比較してPFSの改善効果を長期的に持続できることを示しており、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の初回治療における標準治療として、Pola-R-CHP療法の使用を支持するものである。
参照元:
Five-Year Outcomes of the POLARIX Study Comparing Pola-R-CHP and R-CHOP in Patients With Diffuse Large B-Cell Lymphoma(J Clin Oncol. 2025 DOI: 10.1200/JCO-25-00925.)