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オンライン治験の普及を目指し支援を開始:患者さんの治験アクセスとドラッグラグ・ドラッグロスの改善へ 国立がん研究センター

[公開日] 2025.09.05[最終更新日] 2025.09.08

国立がん研究センター中央病院は8月26日、オンライン治験(分散型治験:Decentralized Clinical Trial, DCT)の導入を目指す医療機関向けに、オンライン治験の実務に必要な手順書やマニュアル、書式などの書類の提供を行い、DCTに関する支援業務(DCTコンサルテーション)を無料で開始したことを発表した。 これまで治験の実施にあたっては、患者さんが治験実施医療機関へ何度も来院する必要があり、特に遠隔地在住の患者さんにとっては、通院に伴う時間的・経済的・体力的な負担が大きな障壁となっていた。 一方のDCTは、患者さんが自宅や自宅近隣の医療機関(パートナー施設)から治験実施医療機関にオンラインでアクセスできるようになるため、治験登録の促進や治験コストの削減につながり、特に患者さんが少ない希少疾患や小児疾患におけるドラッグラグ・ドラッグロスの解消が期待されている。 しかしながら、多くの医療機関にとってオンライン治験の立ち上げは初めての試みであり、病院内外の多くの関係者を巻き込んだ体制づくりや、関連規制への対応、さらにはオンライン診療やデータ転送のためのシステム導入など多くの労力がかかることから、導入に躊躇する医療機関が多いのが現状である。 このような背景のなか、中央病院は、これまでに実施してきた希少がんを対象とした2つの医師主導DCT(TAZETTA試験:NCCH2107/MK012、Perfume試験:NCCH2101/MK011)について、その手法を確立するとともに、治験実施医療機関に求められる実務に関する手順書やマニュアル、書式などを整備していた。 具体的なDCTコンサルテーションの内容は、実務書類を無償提供することに加え、オンライン診療や、eConsent(治験の内容説明や同意取得を電子機器で行う手法・手順)、ePRO(電子機器を使った患者報告アウトカム)に関するシステムやウェアラブルデバイス等の適切な選定、データ転送のためのシステムの構築、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令および各種ガイドライン等の規制対応、運用面での課題解決など、多岐にわたるご相談に対応するとしている。 (画像はリリースより) 今回の取り組みにより、希少がん、更にはより広い対象領域において、全国の医療機関にオンライン治験が普及していくことが期待される。 参照元: 国立がん研究センター プレスリリース
ニュース DTCオンライン治験

浅野理沙

東京大学薬学部→東京大学大学院薬学系研究科(修士)→京都大学大学院医学研究科(博士)→ポスドクを経て、製薬企業のメディカルに転職。2022年7月からオンコロに参加。医科学博士。オンコロジーをメインに、取材・コンテンツ作成を担当。

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