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セムブリックスの追加承認は慢性骨髄性白血病(CML)の治療に何をもたらすのか ノバルティスファーマがCMLメディアセミナーを開催

[公開日] 2025.06.04[最終更新日] 2025.06.03

5月29日、ノバルティスファーマ株式会社がメディアセミナーを開催。近畿大学学長の松村到先生が慢性骨髄性白血病(CML)治療の課題と展望について、慢性骨髄性白血病患者・家族の会「いずみの会」代表の小林竜太郎さんがCMLのアンメットメディカルニーズについて、それぞれ講演した。

セムブリックスはグリベック承認時以来の大きな変化

血液がんはすべての病型において50歳以上で増加する傾向があり、全体の約2割がCML。発症年齢中央値は50歳であるが、若年でも発症し得る。また急性白血病と異なり、無症状で進行していくため、発見が難しい。CMLは急性転化すると急性白血病と同様の不良な予後をたどるため、CMLの治療の最大の目的は、「病勢進行を慢性期にとどめること」と松村先生。早期に治療し急性期への進行を回避することが重要だ。 CMLの治療は、第一世代のチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)であるグリベック(一般名:イマチニブ)の登場以来、長らくTKIが初回治療の中心とされてきた。TKIは非常に深い奏効(CMLに見られる異常なBCR-ABL1遺伝子レベルが0.1%以下を達成=MMR、0.01%以下を達成=DMR)が期待でき、DMRが得られた場合、治療の中止とモニタリングに移行することが可能なケースもあると考えられている。一方、初回TKI治療で十分な効果が得られずに2次、3次治療へと進むにつれて、MMR達成率は下がり、CML関連死亡や治療関連死亡が起きてくる。 もうひとつ、TKI治療で問題となるのが治療関連の有害事象である。松村先生は、有害事象には2つのパターンがあると話す。ひとつは血球減少症や膵炎、狭心症等の客観的な指標で評価できるもの、もうひとつは疲労や頭痛等の主観的なものだ。前者はTKIの切り替えが検討される一方で、後者はしばしばTKIが継続されるためQOLの低下につながる。 CMLの患者会によるアンケート(2023年実施)によると、副作用に関する医師の対応への満足度は、どの年齢層でも3-4割が「あまり満足していない、満足していない」と回答。このことからも、医師の評価以上に副作用に悩む患者が多いことが示唆される。しかし、複数の治療選択肢が出てきた今、長期間の治療を要するCMLでは、よりきめ細かい対応が必要と松村先生は強調。「副作用による服薬アドヒアランスの低下が原因で、せっかくのMMR達成のチャンスを逃すことは、絶対に回避する必要があります」と語った。 このような背景の中、新規の作用機序を持つ薬剤セムブリックス(一般名:アシミニブ)が、初回治療として2025年5月に追加承認となった(TKI耐性後の使用に関しては既に2022年に承認を取得している)。セムブリックスは現在の標準治療であるTKIと比較してオフターゲット(本来狙っている標的以外の分子)を阻害しない高い選択性を実現。その結果、より高いMMR到達率および優れた安全性と投与継続率が報告された(ASC4FIRST試験)。海外では既にセムブリックスの初回治療としての使用が推奨されており、グリベックが初めて承認となったとき以来の大きな治療変化になるだろうと松村先生は期待を述べた。 今後の課題として、セムブリックスの使用に関する長期追跡データについては、現時点でまだ5年を超えるものは出ておらず、どの程度の患者さんが無治療に移行できるか、あるいは次治療が必要になるのか、また次治療としてのTKIがどの程度奏効するのかということを明らかにしていくことが重要だという。また、現時点では医師・患者双方が、臨床試験データの数値以上の良好な忍容性を実感している一方で、数千例単位での安全性は明らかになっておらず、「今後実臨床でのデータを注視していく必要がある」と松村先生は話した。

個々のライフスタイルに合わせた快適な治療を

いずみの会代表の小林さんは2012年にCML発症後、11年間で3つの薬剤を使用。2年前に、副作用が強かったこと、および高い効果が得られたことが理由で、治療をやめることを選択し、現在も無治療で再発することなく経過観察を続けている。 小林さんによると、2021年のアンケート調査において、「副作用で困ったことは全くない」と回答した患者はたった1割弱にとどまり、9割以上が副作用の自覚症状で困っている状況だ。また、2人に1人が1回以上の治療薬の変更を経験しており、その多くは副作用が原因だ。 CMLの治療目標は、治療による慢性期の維持、と長らく考えられてきたが、現在は小林さんのような「無治療寛解」が目指せるようになってきている。一方で、患者は治療中も経過観察中も、常に再発の不安から逃れられないという。この不安を抱えている状態で、「主治医に本音を話すことは非常に難しい」と医師とのコミュニケーションを課題として挙げた。「限られた時間ですべての不安を伝えきれないこと、今の治療が続けられなくなるかもしれないという懸念があること、その他経済的な負担や医師との相性等の問題もあり、なかなか主治医に本当のことを伝えられない患者さんもいます」(小林さん) 最後に小林さんは、高い治療効果はもちろんのこと、できるだけ副作用が少なく体への負担が軽い治療であることを重要視してほしいと患者としての希望を述べた。また、様々な年齢層のすべてのCML患者さんが、それぞれライフスタイルに合った治療を快適に継続できるようになってほしいとの願いを語った。
ニュース 白血病 アシミニブセムブリックス慢性骨髄性白血病

浅野理沙

東京大学薬学部→東京大学大学院薬学系研究科(修士)→京都大学大学院医学研究科(博士)→ポスドクを経て、製薬企業のメディカルに転職。2022年7月からオンコロに参加。医科学博士。オンコロジーをメインに、取材・コンテンツ作成を担当。

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