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切除不能および切除可能境界のIII期非小細胞肺がんに対する術前療法としての抗PD-(L)1抗体薬+プラチナ系抗がん剤 JAMA Oncologyより
[公開日] 2025.06.02[最終更新日] 2025.05.28
2025年5月22日、医学誌『JAMA Oncology』にて、切除不能および切除可能境界のIII期非小細胞肺がんに対する術前療法としての抗PD-1抗体薬/抗PD-L1抗体薬+プラチナ系抗がん剤の有効性を検証した多施設コホート研究の結果がDana-Farber Cancer InstituteのBiagio Ricciuti氏らにより公表された。
本コホート研究は、切除不能および切除可能境界のIII期非小細胞肺がん(T4および/またはN2–N3)患者に対する術前療法として、抗PD-1抗体薬/抗PD-L1抗体薬+プラチナ系抗がん剤を投与し、主要評価項目として病理学的完全奏効率(pCR)、主要病理学的奏効率(MPR)、手術切除可能性、無イベント生存期間(EFS)等を検証した研究である。
2018年2月から2024年1月の期間で米国、イタリアの医療機関にて抗PD-1抗体薬/抗PD-L1抗体薬+プラチナ系抗がん剤による術前療法を受けた患者のデータを解析した。本試験に登録された112人の患者背景は、女性が58人(51.8%)、年齢中央値が66歳(41〜84歳)であった。
合計84人(75.0%)が外科的切除を受け、主要評価項目であるpCRは29.0%(24/83人)、MPRは42.2%(35/83人)を示した。PD-L1発現率が50%以上かつ腫瘍変異負荷(TMB)が高率な患者ではpCRが高率(4/9人,44.4%,P=0.03)であり、KRAS/STK11またはKRAS/KEAP1の遺伝子変異がある患者はpCRが得られなかった。
外科的切除を受けた全患者のEFSの中央値は52.6か月(95%信頼区間:27.8ヶ月-未到達)を示し、pCRを達成した患者におけるEFSは未到達、pCRを達成しなかった患者では27.8ヶ月(95%信頼区間:19.5ヶ月-未到達)であり、pCRを達成した患者群で無イベント生存期間(EFS)を統計学的有意に改善した(P<.001)。
以上の多施設コホート研究の結果よりBiagio Ricciuti氏らは、「切除不能および切除可能境界のIII期非小細胞肺がんに対する術前療法としての抗PD-(L)1抗体薬+プラチナ系抗がん剤は、使用可能な治療選択肢となることが示されましたが、前向き研究による更なる検証が必要です」と結論付けた。
参照元:
Neoadjuvant PD-1 and PD-L1 Blockade With Chemotherapy for Borderline Resectable and Unresectable Stage III Non–Small Cell Lung Cancer(JAMA Oncology 2025 Doi:10.1001/jamaoncol.2025.1115)
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