この記事の3つのポイント
・ドキソルビシンベースの初回化学療法後の進行性非脂肪軟部肉腫を対象とした第2相のEREMISS試験
・維持療法としてのマルチキナーゼ阻害薬スチバーガの有効性・安全性を検討
・スチバーガによる維持療法により、無増悪生存期間を有意に改善
2025年4月8日、医学誌『Annals of Oncology』にて、ドキソルビシンベースの初回化学療法後の進行性非脂肪系軟部肉腫(NASTS)に対する維持療法としてのマルチキナーゼ阻害薬スチバーガ(一般名:レゴラフェニブ)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第2相のEREMISS試験(NCT03793361)の結果がLille University and Department of Medical OncologyのN. PENEL氏らにより公表された。
EREMISS試験は、ドキソルビシンベースの初回化学療法を6サイクル実施後、病勢安定(SD)もしくは部分奏効(PR)が確認された進行性NASTS患者(N=126人)に対して、維持療法として1日1回スチバーガ120mg単剤を3週間投与(その後1週間休薬)する群、もしくはプラセボを投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目として盲検中央判定(BCR)による無増悪生存期間(PFS)を比較検証した無作為化二重盲検プラセボ対照の第2相試験である。
本試験に登録された126人の患者背景は、年齢中央値が58歳(範囲:18-85歳)、性別は女性が55%、組織型は平滑筋肉腫(leiomyosarcoma)が59%であった。
本試験の結果、主要評価項目であるPFSの中央値は、スチバーガ単剤群で5.6ヶ月に対してプラセボ単剤群で3.5ヶ月と、スチバーガ単剤群で病勢進行または死亡のリスクが47%減少した(ハザード比:0.53,95%信頼区間:0.36-0.78,P=0.001)。その他の評価項目である全生存期間(OS)中央値は、スチバーガ単剤群で27.6ヶ月に対してプラセボ単剤群で20.5ヶ月と、スチバーガ単剤群で病勢進行または死亡のリスクが22%減少した(ハザード比:0.78,95%信頼区間:0.50-1.22,P=0.28)が、統計学的有意な差は確認されなかった。
一方の安全性として、グレード3以上の有害事象(AE)発症率は、スチバーガ単剤群で56.3%に対してプラセボ単剤群で4.8%を示した。スチバーガ群で多く確認されたグレード3以上のAEは、全身倦怠感(9%)、高血圧(8%)、発疹(8%)であった。
以上のEREMISS試験の結果よりN. PENEL氏らは、「この試験は主要目的を達成し、進行性NASTSに対する一次治療後のスチバーガ維持療法による病勢進行の有意な改善が認められましたが、一方の全生存率に関しては、統計的有意な改善は認められませんでした」と結論付けた。
参照元:
Regorafenib as maintenance therapy after first-line doxorubicin-based chemotherapy in advanced non-adipocytic soft tissue sarcomas patients: a double-blind randomised trial(Annals of Oncology 2025 DOI: 10.1016/j.annonc.2025.03.024)あなたは医師ですか。