この記事の3つのポイント
・サイクリン依存性キナーゼ4/6阻害薬+内分泌療法後に増悪した
ホルモン受容体陽性HER2陰性進行性乳がんを対象とした第2相のPALMIRA試験
・イブランス再投与+内分泌療法の有効性・安全性を検討
・二次治療としてのイブランスの再投与は、無増悪生存期間を改善せず
2025年4月28日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて、サイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害薬イブランス(一般名:パルボシクリブ)+内分泌療法(ET)併用療法後に病勢進行したホルモン受容体陽性HER2陰性進行性乳がんに対する二次治療としてのイブランス再投与+ETの有効性、安全性を比較検証した第2相のPALMIRA試験(NCT03809988)の結果がUniversidad Cardenal Herrera-CEUのAntonio Llombart-Cussac氏らにより公表された。
PALMIRA試験は、CDK4/6+ET併用療法後に病勢進行したホルモン受容体陽性HER2陰性進行性乳がん患者(N=198人)に対する二次治療としてイブランス+フルベストラントまたはレトロゾール併用療法を実施する群(N=136人)、もしくはフルベストラントまたはレトロゾール単剤を投与する群(N=62人)に2対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として治験医師評価による無増悪生存期間(PFS)を比較検証した国際多施設共同無作為化非盲検の試験である。
本試験の結果、主要評価項目であるPFSの中央値は、イブランス併用群で4.9ヶ月(95%信頼区間:3.6-6.1ヶ月)に対してイブランス非併用群で3.6ヶ月(95%信頼区間:2.5-4.2ヶ月)と、イブランス併用群で病勢進行または死亡のリスクを16%(ハザード比:0.84,95%信頼区間:0.66-1.07,P=0.149)減少するも、両群間で統計学的有意な差は確認されなかった。
一方の安全性として、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は、イブランス併用群で47.4%に対してイブランス非併用群で10.0%であり、イブランス併用群で発現割合が高かったものの、本試験で新たな安全性シグナルは認められず、既存の臨床試験で確認されている安全性プロファイルと一致していた。
以上のPALMIRA試験の結果よりAntonio Llombart-Cussac氏らは、「CDK4/6阻害薬+内分泌療法後に増悪したホルモン受容体陽性HER2陰性進行性乳がんに対する二次治療として、CDK4/6阻害薬であるイブランス再投与をETに追加しても、ET単独と比較してPFSは有意に改善されなかった」と結論付けた。
参照元:
Second-Line Endocrine Therapy With or Without Palbociclib Rechallenge in Patients With Hormone Receptor–Positive/Human Epidermal Growth Factor Receptor 2–Negative Advanced Breast Cancer: PALMIRA Trial(Journal of Clinical Oncology 2025 doi:10.1200/JCO-24-01865)あなたは医師ですか。