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術後の血液循環腫瘍DNA陽性大腸がんに対するトリフルリジン・チピラシル療法の再発抑制効果の検討 AACR2025
[公開日] 2025.05.11[最終更新日] 2025.05.12
2025年4月25日-30日、米国シカゴで開催された米国癌学会(AACR)2025にて、術後の血液循環腫瘍DNA(ctDNA)陽性大腸がんに対するトリフルリジン・チピラシル療法の有効性・安全性を検討した第3相ALTAIL試験の結果が、坂東英明先生(国立がん研究センター東病院)によって発表された。
ALTAIL試験は、原発・転移巣の根治的切除(と必要な場合の標準的な術後療法)を受け、3カ月以内にctDNA陽性かつ画像上の再発は認められない大腸がん患者を対象とし、トリフルリジン・チピラシル(FTD/TPI)投与の有効性・安全性を検討した試験。既に主要評価項目である無病生存期間(DFS)に関して、FTD/TPI投与がプラセボと比較して改善傾向を示したものの、統計的有意な差は認められなかったことが報告されていた。
今回は、ベースラインのctDNAレベルと有効性の解析結果が報告された。
全体のDFSの中央値は、既報の通りFTD/TPI群(n=122)で9.30カ月に対してプラセボ群(n=121)で5.55カ月であり、統計的有意差には至っていない(ハザード比:0.79、95%信頼区間:0.60-1.05、p = 0.107)。しかし、IV期の症例に絞ることで、高い有効性が認められた(ハザード比:0.53、p = 0.012)。さらに、両群からベースラインのctDNAレベルが低い患者(< 0.179 MTM/mL*)を除外した結果、有効性解析集団におけるDFSの中央値は、FTD/TPI群で8.12カ月に対してプラセボ群で3.89カ月(ハザード比:0.61、95%信頼区間:0.43-0.85、p = 0.003)となり、統計的有意な改善が示された。更にこの結果と一致して、FTD/TPI群ではプラセボ群と比較して、ctDNAの消失率が高くなる傾向が認められた(8.33% vs 4.05%)。
* MTM/mL:ctDNAの濃度の単位。血液1mL中に含まれるがん細胞由来のDNAの個数
全生存期間(OS)に関しては、データが未成熟であり、解析が継続される予定だ。
グレード3以上の有害事象は、FTD/TPI群で73.0%、プラセボ群で3.3%に発現したが、新たな安全性シグナルは認められなかった。
以上の結果から、ベースラインのctDNAが高い集団およびIV期の症例においては、FTD/TPI投与は治療ベネフィットを示し、DFSの改善を認めることが示唆された。
参照元:
A randomized, double-blind, phase III study comparing trifluridine/tipiracil (FTD/TPI) versus placebo in patients with molecular residual disease following curative resection of colorectal cancer (CRC): The ALTAIR Study(AACR 2025)
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