この記事の3つのポイント
・治療歴のある子宮漿液性がんを対象とした第2b相ADAGIO試験
・Wee1阻害剤アダボセルチブ単剤療法の有効性・安全性を検討
・一定数の奏効を認めるが、高い有害事象発現率が問題に
2025年4月22日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて、治療歴のある子宮漿液性がん(USC)に対するWee1阻害剤Adavosertib(アダボセルチブ)単剤療法の有効性、安全性を検証した第2b相ADAGIO試験の結果がDana-Farber Cancer InstituteのJoyce F. Liu氏らにより公表された。
本試験は、少なくとも1レジメンのプラチナ製剤化学療法を含む治療歴のあるUSC患者に対して、21日を1サイクルとして1~5日目、8~12日目に1日1回アダボセルチブ300mg単剤を投与し、主要評価項目として盲検独立中央判定(BICR)による客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として奏効期間(DoR)中央値、無増悪生存期間(PFS)中央値、安全性および忍容性を検証した国際多施設共同の単群試験である。
本試験の結果、評価可能であった104人の患者における主要評価項目である盲検独立中央判定(BICR)によるORRは27/104例(26.0%;95%信頼区間:17.9-35.5%)を示した。奏効の内訳は完全奏効(CR)が1例、部分奏効(PR)が26例を示した。
副次評価項目であるDORの中央値は4.7ヶ月(95%信頼区間:3.8-8.3ヶ月)、PFSの中央値は2.8ヶ月(95%信頼区間:2.6-3.9ヶ月)を示した。バイオマーカー解析にてアダボセルチブに対する反応を予測する特定の遺伝子変異は特定されなかったが、CCNE1遺伝子の増幅または高いCyclin E1タンパク発現がアダボセルチブの効果予測因子になり得る可能性が示唆された。
一方の安全性として、治療関連有害事象(TRAE)発症率は97.2%を示し、最も多くの患者で確認されたTRAEは、下痢が59.6%、悪心が59.6%、貧血が58.7%であった。グレード3以上のTRAE発症率は60.6%を示し、最も多かったものとして、好中球減少症が21.1%、疲労が13.8%を示した。
以上の結果よりJoyce F. Liu氏らは、「治療歴のあるUSCに対するアダボセルチブ単剤療法は、一定の抗腫瘍効果を示すものの、忍容性には問題が確認されました。探索的なバイオマーカー解析では、CCNE1/Cyclin E1発現がアダボセルチブの反応性の指標となる可能性が示されました」と結論付けた。
参照元:
ADAGIO: A Phase IIb, Open-Label, Single-Arm, Multicenter Study Assessing the Efficacy and Safety of Adavosertib (AZD1775) as Treatment for Recurrent or Persistent Uterine Serous Carcinoma(J of Clin Oncol. 2025 doi:10.1200/JCO-24-01606)あなたは医師ですか。