この記事の3つのポイント
・切除可能HER2陽性局所進行胃/食道胃接合部腺がんを対象とした第2相試験
・抗PD-L1抗体薬テセントリク+抗HER2抗体薬ハーセプチン+XELOXの有効性・安全性を検討
・病理学的奏効率の改善と良好な安全性プロファイルを示す
2025年4月17日、医学誌『JAMA Oncology』にて、切除可能HER2陽性局所進行胃/食道胃接合部腺がんに対する抗PD-L1抗体薬テセントリク(一般名:アテゾリズマブ)+抗HER2抗体薬ハーセプチン(一般名:トラスツズマブ)+XELOX(カペシタビン+オキサリプラチン)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第2相試験(NCT04661150)の結果がPeking University Cancer Hospital and InstituteのZhi Peng氏らにより公表された。
本試験は、中国の8施設において手術適応のあるHER2陽性局所進行胃/食道胃接合部腺がん患者に対して、テセントリク+ハーセプチン+XELOX併用療法を投与する群(N=21人)、もしくはハーセプチン+XELOX併用療法を投与する群(N=21人)に無作為に振り分け、主要評価項目として術前療法および手術完了後の病理学的完全奏効(pCR)率を検証したオープンラベルランダム化試験である。
本試験の結果、主要評価項目であるpCR率は、テセントリク併用群で38.1%に対して、テセントリク非併用群で14.3%、両群間で統計学的有意な差が確認された。その他評価項目である無イベント生存期間(EFS)、無病生存期間(DFS)、全生存期間(OS)の中央値はいずれも未到達であった。
一方の安全性として、治療関連有害事象(TEAE)発症率は両群ともに100%の患者で確認され、グレード3以上のTEAE発症率はテセントリク併用群で57%(12/21人)、テセントリク非併用群で67%(14/21人)を示した。重篤なTEAE発症率は、テセントリク併用群で29%(6/21人)、非併用群で10%(2/21人)確認された。
以上の結果よりZhi Peng氏らは、「対象集団に治療におけるハーセプチン+XELOXに対するテセントリクの追加は、良好な抗腫瘍効果を示し、安全性も良好でした」と結論付けた。
参照元:
Atezolizumab and Trastuzumab Plus Chemotherapy for ERBB2-Positive Locally Advanced Resectable Gastric Cancer(JAMA Oncol. 2025 doi:10.1001/jamaoncol.2025.0522)あなたは医師ですか。