この記事の3つのポイント
・フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病を対象とした第2相試験
・キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法+チロシンキナーゼ阻害薬スプリセルの有効性・安全性を検討
・良好な安全性と抗腫瘍効果を認める
2025年4月17日、医学誌『JAMA Oncology』にて、新規フィラデルフィア染色体(Ph)陽性急性リンパ性白血病(ALL)に対するキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法+チロシンキナーゼ阻害薬であるスプリセル(一般名:ダサチニブ)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第2相試験(NCT04788472)の結果がZhejiang University School of MedicineのMingming Zhang氏らにより公表された。
本試験は、フィラデルフィア染色体(Ph)陽性急性リンパ性白血病(ALL)と新たに診断された成人患者に対して、導入療法であるビンデシン+デキサメタゾンと併せてスプリセルを投与し、その後CD19およびCD22標的CAR-T細胞療法を逐次的に投与、維持療法としてスプリセルを投与し、主要評価項目としてCD19標的CAR-T細胞療法後の完全分子寛解率(CMR)を検証した単群非ランダム化の第2相試験である。
本試験に登録された28人の患者背景は、年齢中央値が48.5歳(範囲:18.0-69.0歳)、性別は女性が36%(N=10人)であった。主要評価項目であるCD19標的CAR-T細胞療法後のCMRは85%(23/27人)を示し、導入療法後のCMRである25%(7/28人)よりも改善を認めた。追跡期間中央値23.9ヵ月時点において、2年全生存率(OS)および無白血病生存率は92%を示した。
一方の安全性として、グレード1のCRS(サイトカイン放出症候群)が21人に認められたが、神経毒性の発現は認められなかった。
以上の結果よりMingming Zhang氏らは「CAR-T細胞療法とスプリセルの併用が、新たに診断されたPh陽性ALLに対して、良好な安全性プロファイルと有望な有効性を持つことを示唆しています」と結論付けた。
参照元:
Dasatinib and CAR T-Cell Therapy in Newly Diagnosed Philadelphia Chromosome–Positive Acute Lymphoblastic Leukemia(JAMA Oncol. 2025 doi:10.1001/jamaoncol.2025.0674)あなたは医師ですか。