この記事の3つのポイント
・フォン・ヒッペル・リンドウ病を伴う腎細胞がんを対象とした第2相のLITESPARK-004試験
・HIF-2α阻害薬ベルズチファンの有効性・安全性を検討
・良好な奏効率と安全性プロファイルを示す
2025年4月11日、医学誌『The Lancet Oncology』にて、フォン・ヒッペル・リンドウ(VHL)病に伴う腎細胞がんに対する低酸素誘導因子(HIF)-2α阻害薬ベルズチファン単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相のLITESPARK-004試験(NCT03401788)の長期フォローアップ試験の結果がNational Cancer InstituteのRamaprasad Srinivasan氏らにより公表された。
LITESPARK-004試験への登録条件は、VHL病と診断され、計測可能な腎細胞がん病変を1つ以上有し、即時手術が必要な3cmを超える腫瘍や転移性疾患がなく、全身性の抗がん剤治療歴がない、ECOG Performance Statusが0または1であること。以上を満たす患者に対して1日1回ベルズチファン120mgを投与し、主要評価項目としてRECIST v1.1に基づく腎細胞がんに対する客観的奏効率(ORR)を検証した。
同試験には、2018年5月31日から2019年3月29日までに合計61人の患者が登録された。患者背景は、年齢中央値が41.0歳、男性が32人(52%)、女性が29人(48%)、人種は大半が白人(90%)であった。
追跡期間中央値49.9カ月時点において、61人中41人に効果が認められ、主要評価項目であるORRは67%(95%信頼区間:54–79%)、そのうち完全奏効(CR)は7人(11%)、部分奏効(PR)は34人(56%)を示した。
一方の安全性として、グレード3の治療関連有害事象(TRAE)は11人(18%)の患者で確認され、そのうち貧血が11%、倦怠感が5%、尿路感染症が2%、低酸素症が2%、水疱が2%であった。グレード4または5のTRAEは確認されなかった。重篤なTRAEは4人(7%)の患者で発生し、それぞれ貧血、尿路感染症、頭蓋内出血、低酸素症であった。
以上のLITESPARK-004試験の結果よりRamaprasad Srinivasan氏らは「今回の結果は、VHL病に伴う腎細胞がんに対するベルズチファンの使用を支持するデータとなりました」とコメントした。
参照元:
Belzutifan for von Hippel-Lindau disease-associated renal cell carcinoma and other neoplasms (LITESPARK-004): 50 months follow-up from a single-arm, phase 2 study(The Lancet Oncology. 2025 doi:10.1016/S1470-2045(25)00099-3)あなたは医師ですか。