この記事の3つのポイント
・切除可能な膵管腺がんを対象としたコホート研究
・根治的放射線アブレーションの有効性・安全性を検討
・放射線アブレーションが手術と並ぶ治療選択肢となる可能性を示唆
2025年4月10日、医学誌『JAMA Oncology』にて、切除可能な膵管腺がん(PDAC)に対する放射線アブレーションの有効性、安全性を検証したコホート試験の結果がMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのMarsha Reyngold氏らにより公表された。
本試験は、切除可能なPDAC患者に対して、放射線アブレーションを実施し、主要評価項目として全生存期間(OS)、副次評価項目として血液検査および画像による客観的奏効率(ORR)、局所進行の累積発生率、無増悪生存期間(PFS)等を検証した試験である。
本試験に登録された患者25名のうち、13名(52%)が男性、アブレーション実施時の年齢中央値(四分位範囲)は80歳(74~87歳)、Karnofsky Performance Statusスコアが80以下の症例は20人(80%)であった。また、病期については15人(60%)がT2、4人(16%)がリンパ節陽性であった。また17人(68%)は中央値2.9か月間の導入化学療法を受けていた。
本試験の結果、2年時点での全生存率は43.7%(95%信頼区間:27.4%‐69.5%)を示した。また、副次評価項目である局所進行の累積発生率は20.8%(95%信頼区間:7.3%‐39.0%)、無遠隔転移生存率は20.0%(95%信頼区間:9.1%‐43.8%)を示した。グレード3の急性/慢性の消化器系有害事象(AE)はそれぞれ3人、1人の患者で確認され、グレード4以上は確認されなかった。
このコホート研究により、切除可能なPDACに対する放射線アブレーションは、年齢、Karnofsky Performance Statusスコア、化学療法の使用の有無に関わらず、効果的な局所腫瘍制御と良好な全生存期間の改善をもたらし、手術の代替選択肢となることが示された。
参照元:
Nonoperative Management of Technically Resectable Pancreatic Cancer With Ablative Radiation Therapy(JAMA Oncol. 2025 doi:10.1001/jamaoncol.2025.0460)あなたは医師ですか。