この記事の3つのポイント
・EGFR変異陽性進行非小細胞肺がんを対象とした第3相MARIPOSA試験
・初回治療としてのEGFRおよびMETを標的とする二重特異性抗体ライブリバント+第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬ラズクルーズの有効性・安全性を検討
・タグリッソと比較して、生存期間の有意な延長を示す
2025年3月26-29日、フランス・パリで開催された欧州肺癌学会(ELCC 2025)にて、EGFR変異陽性の進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対するEGFRおよびMETを標的とする完全ヒト型二重特異性抗体ライブリバント(一般名:アミバンタマブ)+第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)ラズクルーズ(一般名:ラゼルチニブ)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相MARIPOSA試験(NCT04487080)の最終解析の結果がJames Chih-Hsin Yang氏らにより公表された。
MARIPOSA試験は、EGFRエクソン19欠失変異またはエクソン21 L858R変異陽性の進行NSCLC患者に対する初回治療として、ライブリバント+ラズクルーズを投与する群、タグリッソ(一般名:オシメルチニブ)単剤を投与する群、ラズクルーズ単剤を投与する群に2対1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として盲検下独立中央評価による無増悪生存期間(PFS)、副次的評価項目として全生存期間(OS)、全奏効率(ORR)、奏効持続期間(DOR)、最初の治療開始から二次治療後の病勢進行または死亡までの期間(PFS2)を比較検証した試験である。既に主要評価項目が達成することは示されており、今回はOSの結果が報告された。
本試験の追跡期間中央値37.8ヶ月時点における結果は、タグリッソ単剤群に比べてライブリバント+ラズクルーズ群で死亡のリスクが統計学的有意に低下した(HR:0.75,95%信頼区間:0.61–0.92,P<0.005)。3年全生存率はライブリバント+ラズクルーズ群の60%に対してタグリッソ単剤群で51%を示し、両群に差が認められた。
ライブリバント+ラズクルーズ併用療法は、EGFR変異陽性の進行NSCLCにおいて、タグリッソと比較して死亡リスクを有意に低減させた初めての治療法。ライブリバント+ラズクルーズのOSの中央値はまだ達成されていないが、少なくとも12か月のOS延長効果が予想される。
参照元:
Amivantamab plus lazertinib vs osimertinib in first-line (1L) EGFR-mutant (EGFRm) advanced NSCLC: Final overall survival (OS) from the phase III MARIPOSA study(ELCC 2025)あなたは医師ですか。