この記事の3つのポイント
・ROS1融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんを対象とした第2相TRUST-I/TRUST-II試験の統合解析
・経口ROS1阻害薬であるタレトレクチニブ単剤の有効性・安全性を検討
・良好な生存率と毒性の軽減を示す
2025年4月3日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にてROS1陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対する経口ROS1阻害薬であるタレトレクチニブ単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相TRUST-I/TRUST-II試験の統合解析の結果がLéon Bérard Cancer CenterのMaurice Pérol氏らにより公表された。
TRUST-I/TRUST-II試験は、ROS1融合遺伝子陽性のNSCLC患者に対して、1日1回タレトレクチニブ600mg単剤を投与し、主要評価項目として独立評価委員会判定による確定客観的奏効率(cORR)、副次評価項目として頭蓋内腫瘍奏効率(IC-ORR)、無増悪生存期間(PFS)、奏効期間(DOR)、および安全性を検証した単群/非盲検/非ランダム化/多施設共同試験である。
本試験の結果、有効性評価可能集団である273人の患者のうち、チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)未治療患者群(N=160人)におけるcORRは88.8%、IC-ORRは76.5%を示した。副次評価項目であるDORは44.2ヶ月、PFSは45.6ヶ月を示した。
TKI治療歴のある患者群(N=113人)におけるcORRは55.8%、IC-ORRは65.6%を示した。副次評価項目であるDORは16.6ヶ月、PFSは9.7ヶ月を示した。なお、ROS1遺伝子変異(G2032R)を有する患者(N=13人)における客観的奏効率(cORR)は61.5%を示した。
一方の安全性として、タレトレクチニブが投与された352人において最も頻度の高かった治療関連有害事象(TEAEs)は、消化器症状が(88%)、AST上昇が(72%)、ALT上昇が(68%)で大半の患者がグレード1であった。神経系の有害事象は稀で、めまいが(21%)、味覚異常が(15%)であったが、これらも主にグレード1であった。治療中止に至ったTEAEs発症率は6.5%と低率であった。
以上のTRUST-I/TRUST-II試験の結果よりMaurice Pérol氏らは、「タレトレクチニブは、TKI未治療およびTKI既治療症例いずれにおいても、高く持続的な有効性を示し、神経毒性も低いことが示されました」を結論付けた。
参照元:
Taletrectinib in ROS1+ Non–Small Cell Lung Cancer: TRUST(J Clin Oncol. 2025 doi:10.1200/JCO-25-00275)あなたは医師ですか。