この記事の3つのポイント
・進行非小細胞肺がんを対象とした第3相のMK-3475A-D77試験
・初回治療としての抗PD-1抗体キイトルーダの皮下注製剤の有効性・安全性を検討
・静脈内投与と同等の有効性を示す
2025年3月26日~29日、 フランス・パリで開催された2025年欧州肺がん会議(European Lung Cancer Congress 2025)にて、進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対する抗PD-1抗体薬であるキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)の皮下注投与(SC)、静脈内投与(IV)の有効性、安全性を比較検証した第3相のMK-3475A-D77試験の結果が公表された。
MK-3475A-D77試験は、新規に診断された進行NSCLC患者(N=377人)の初回治療として、6週を1サイクルとしてキイトルーダSC 790mg+プラチナ系抗がん剤投与を実施する群、もしくは6週を1サイクルとしてキイトルーダIV 400mg+プラチナ系抗がん剤投与を実施する群に2:1の割合で無作為に振り分け、評価項目として無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)等を検証した試験である。
本試験の追跡期間中央値9.6か月時点における結果、初回サイクルの血中濃度時間曲線下面積(AUC)0-6週の幾何平均比は1.14(96%信頼区間:1.06–1.22)、定常状態のトラフ濃度(Ctrough)は1.67(94%信頼区間:1.52–1.84)であり、いずれも信頼区間の下限値が0.8を上回ったことから、非劣性であることが示された(両群ともp<0.0001)。
ORRはSC群の45.4%に対してIV群で42.1%、PFSの中央値はSC群の8.1か月に対してIV群で7.8か月を示した(ハザード比:1.05,95%信頼区間:0.78–1.43)。またOSの中央値は両群とも未到達であった。
一方の安全性として、グレード3以上の有害事象(AE)は、SC群の47.0%に対してIV群で47.6%を示し、AEによる治療中止率が、SC群の8.4%に対してIV群で8.7%を示した。また、SC群では2.4%に注射部位の副作用が確認されている。
以上のMK-3475A-D77試験の結果より、McMaster UniversityのRosalyn Juergens氏は「キイトルーダの皮下注投与は、安全性、薬物動態、有効性の観点から、キイトルーダが承認されている適応疾患における実行可能な治療選択肢であることが示唆されました」と結論付けた。
参照元:
Subcutaneous (SC) versus intravenous (IV) pembrolizumab (Pembro) plus chemotherapy (CT) in metastatic non-small cell lung cancer (mNSCLC): Phase III MK-3475A-D77 trial(ELCC 2025)あなたは医師ですか。