この記事の3つのポイント
・術前化学療法に不応の高悪性度骨肉腫を対象とした第3相試験(JCOG0905)
・術後療法としての3剤併用(MAP療法:メトトレキサート+ドキソルビシン+シスプラチン)に対するイホスファミド追加の有効性・安全性を検討
・MAP療法に対するイホスファミドの追加効果は認められず
2025年3月26日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて、術前化学療法に不応の高悪性度骨肉腫(UICC TNM分類ステージIIまたはIII)に対する、術後療法としてのイホスファミドの追加療法の有効性、安全性を比較検証した第3相JCOG0905試験(jRCTs031180126)の結果が北海道がんセンターの平賀博明氏らにより公表された。
JCOG0905試験は、転移のない高悪性度骨肉腫の50歳以下の患者に対して、術前療法としてMAP療法(メトトレキサート+ドキソルビシン+シスプラチン)を実施し、効果不良と判定された患者における術後療法としてのMAP療法、もしくはMAP療法+イホスファミド併用療法を実施する群に無作為に振り分け、主要評価項目として無病生存期間(DFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)、安全性を検証した多施設共同、オープンラベル、無作為化試験である。
本試験は2010年2月から2020年8月までに287例の患者が登録され、そのうち術前MAP療法の効果不良と判定された51例が術後MAP療法群、52例が術後MAP療法+イホスファミド併用群に割り付けられた。
主要評価項目であるDFSは両群間で統計学的有意な差が確認されなかった(ハザード比:1.05,95%信頼区間:0.55–1.98)。またOSに関しては、MAP療法群に比べてイホスファミド併用群で死亡のリスクが48%の増加を示した(ハザード比:1.48,95%信頼区間:0.68–3.22)。
安全性に関しては、有害事象(AE)による治療中止症例がMAP療法群の0例に対してイホスファミド併用群で9例を示した。
以上のJCOG0905試験の結果より、平賀氏らは「今回の結果は、50歳以下の転移のない高悪性度骨肉腫に対するMAP療法に、イホスファミドの追加を支持するものではありませんでした」と結論付けた。
参照元:
Methotrexate, Doxorubicin, and Cisplatin Versus Methotrexate, Doxorubicin, and Cisplatin + Ifosfamide in Poor Responders to Preoperative Chemotherapy for Newly Diagnosed High-Grade Osteosarcoma (JCOG0905)(J Clin Oncol.2025 doi:10.1200/JCO-24-01281)あなたは医師ですか。