この記事の3つのポイント
・転移性去勢抵抗性前立腺がんを対象とした第1相試験
・CD46を標的とする抗体薬物複合体FOR46単剤療法の有効性・安全性を検討
・管理可能な安全性プロファイルと良好な抗腫瘍効果を示す
2025年3月26日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて、アンドロゲン受容体拮抗薬による治療後に病勢進行した転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)に対する抗体薬物複合体FOR46単剤療法の有効性、安全性を検証した第1相試験(NCT03575819)の結果がSan Francisco Helen Diller Family Comprehensive Cancer CenterのRahul R. Aggarwal氏らにより公表された。FOR46は、mCRPCモノメチルアウリスタチンEを結合した完全ヒト型抗体薬物複合体である。
本試験は、1種類以上のアンドロゲン受容体拮抗薬治療後に病勢進行したmCRPC患者に対して、3週を1サイクルとしてFOR46を0.1mg/kgを投与し、主要評価項目として最大耐用量(MTD)を検証した用量漸増拡大した試験である。
本試験の結果、用量制限毒性(DLT)として好中球減少症(4例)、発熱性好中球減少症(1例)、倦怠感(1例)が確認された。主要評価項目であるMTDは、2.7mg/kgであった。多くの患者で確認されたグレード3以上の有害事象(AE)は、好中球減少症(59%)、白血球減少症(27%)、リンパ球減少症(7%)、貧血(7%)、倦怠感(5%)であった。グレード3の発熱性好中球減少症(FN)は1例で確認されたが、治療関連死は確認されなかった。
治療開始用量が1.2mg/kg以上の40人の患者における有効性評価は、放射線画像評価による無増悪生存期間(PFS)中央値8.7か月(0.1~33.9ヵ月)を示した。また、評価可能な39例中14例(36%)が、PSA値のベースラインからの50%減少率を達成した。RECIST評価可能な客観的奏効率(ORR)は25例中5例(20%)で確認された。奏効持続期間(DOR)中央値は7.5か月であり、奏効が確認された患者では治療中の循環エフェクターCD8+ T細胞の頻度が有意に高く確認された。
以上の結果よりRahul R. Aggarwal氏らは「アンドロゲン受容体拮抗薬による治療後に病勢進行したmCRPCに対するFOR46単剤療法は、免疫活性化効果を示し、管理可能な安全性プロファイルを示し、良好な抗腫瘍効果を示しました」と結論付けた。
参照元:
Phase I, First-in-Human Study of FOR46 (FG-3246), an Immune-Modulating Antibody-Drug Conjugate Targeting CD46, in Patients With Metastatic Castration-Resistant Prostate Cancer(J Clin Oncol. 2025 doi:10.1200/JCO-24-01989)あなたは医師ですか。