この記事の3つのポイント
・ヒトパピローマウイルス陰性局所進行頭頸部扁平上皮がんを対象とした第2相のDEPEND試験
・術前オプジーボ+化学療法とその効果に応じた化学放射線療法の有効性・安全性を検討
・良好な生存率と毒性の軽減を示す
2025年3月6日、医学誌『JAMA Oncology』にてヒトパピローマウイルス(HPV)陰性局所進行頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)に対するネオアジュバント(術前)療法としての抗PD-1抗体薬であるオプジーボ(一般名:ニボルマブ)+化学療法と、その奏効度合に応じた化学放射線療法(CRT)の有効性、安全性を検証した第2相のDEPEND試験の結果がUniversity of ChicagoのAri J. Rosenberg氏らにより公表された。
DEPEND試験は、HPV陰性局所進行HNSCC患者に対する術前療法としてオプジーボ+化学療法を投与し、その奏効率が50%以上の場合は低線量(66Gy)CRTを、50%未満の場合は標準(70–75Gy)CRTを実施し、術後療法としてオプジーボ単剤を9サイクル投与し、主要評価項目として深い奏効率(DRR;RECIST v1.1基準で50%以上の腫瘍縮小)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、局所制御率、遠隔転移制御率、探索的評価項目として奏効度に応じた低線量CRTの急性毒性を検証した非ランダム化試験である。
本試験に登録された36人の患者背景は、男性が28人(78%)、年齢中央値が58.9歳(27–77歳)であった。追跡期間中央値20ヶ月(13–40ヶ月)時点において、主要評価項目であるDRRは53%(95%信頼区間:35–70%)の患者で達成した。副次評価項目であるORRは86%(95%信頼区間:71–95%)を示し、低線量CRTを受けた患者は19人、標準CRTを受けた患者は16人であった。2年無増悪生存率は66%(95%信頼区間:34–76%)、2年全生存率は73%(95%信頼区間:52–86%)を示した。
一方の安全性として、CRTによる主な治療関連有害事象(TRAE)発症率は、粘膜炎が低線量CRTで74%(N=14/19人)、標準CRTで94%(N=15/16人)、放射線皮膚炎が68%(N=13/19人)に対して88%(N=14/16人)、口渇が37%(N=7/19人)に対して63%(N=10/16人)であった。
以上のDEPEND試験の結果よりAri J. Rosenberg氏らは、「HPV陰性局所進行HNSCC患者に対する術前療法としてのオプジーボ+化学療法とその効果に応じたCRTの実施は、深い奏効を達成した症例で急性毒性作用を軽減し、良好な生存率が得られました」と結論付けた。
参照元:
Neoadjuvant Nivolumab Plus Chemotherapy Followed by Response-Stratified Chemoradiation Therapy in HPV-Negative Head and Neck Cancer(JAMA Oncol. 2025 doi:10.1001/jamaoncol.2025.0081)
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