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大腸がん月間を機に考えるがん治療との付き合い方 ~武田薬品工業がメディアセミナーを開催~

[公開日] 2025.03.06[最終更新日] 2025.03.06

武田薬品工業株式会社は3月4日、3月の大腸がん啓発月間に合わせ、「ますます身近になりつつある大腸がんの啓発月間に考える~大腸がんとともに自分らしく過ごすには~」と題したメディアセミナーを実施した。 大腸がんは日本において罹患者数が最も多いがんであり、がん死亡予測数においては肺がんに次ぐ2位(男性2位、女性1位)となっている。5年相対生存率は、IーIII期では比較的高い(I期:83.1%、II期:75.6%、III期:68.7%)一方で、IV期になると一気に低下する(17.0%)ため、早期発見が重要ながんだ。早期発見のためには、便潜血が最も重要な検査として長く推奨されている。 治療は、3本柱(手術、放射線、薬物療法)と緩和ケアを並行して実施していく。同セミナーで講演した室圭先生(愛知がんセンター副院長)は、適切な患者さんに適切な治療を適切なタイミングで体系だった介入を行うことが重要だとコメントした。 また室先生は、治せる領域と治せない領域があることを認識することが大切だとし、それによって、患者さんの価値観、治療目的、お金のかけ方を考えながら、一緒に治療を考えていくことの重要性を強調した。ただし、治せないと判断された場合であっても、薬物療法実施後に根治切除可能となるケースも出てきている(コンバージョン手術)。 また室先生によると、がん患者さんの悩みや負担は、治療に伴う症状や外見の変化、仕事や医療費のこと、家族への影響など、多様化している。だからこそ、1人で悩まないこと、自分にとって大切な人とよく相談することが欠かせない。治療は生活の一部です、と室先生は言う。「学業や仕事をどうするか、など自身の価値観を考えながら、家族や周囲とよく話し合って、折り合いをつけてやっていく必要があります」(室先生) 最後に室先生は、がん治療=入院というイメージを持つ患者さんもいるが、外来通院でのがん治療の割合が年々増えてきていることから、「治療の多くが外来でできることを知ってほしいです。今は仕事をしながらでも治療が可能できる時代になってきています」と強調した。 続いて2人のがん経験者から、体験談が紹介された。 岸田徹氏(NPO法人がんノート代表理事)は自身も胎児性がんの経験を持ち、患者同士の情報を共有し合い、1人じゃないということを発信していきたいという想いから、がんノートを立ち上げた。 岸田氏は、4つの観点から大腸がん患者の経験談を紹介した。 まず「治療の選択」に関しては、患者側の価値観や希望が尊重されるシェアードディシジョンメイキング(SDM)が重視され、例えば、自身の仕事や家族の予定に合わせたスケジュールを希望して治療を実施したケースや、再発疑いの際の治療介入を考える際に、“できる治療があるなら今やりたい”という希望で治療実施を選択したケースなどを紹介。また、IV期であっても、延命だけを目的とするのではなく、“今やりたいことをするための治療”を考えられる時代になっている、と岸田氏は話した。また、SDMは、患者に選択権が委ねられることではない、と岸田氏。エビデンス(科学的根拠)に基づく情報をもとに、患者と医師とが対話によって一緒に治療を選択することだ、と強調した。 「身体的なこと」に関しては、抗がん剤による手足の痺れなど副作用の苦痛や、排便障害・ストーマによる生活への影響も大きい。更に、「精神的なこと」では、がん種を問わず、いつまで生きられるのかという不安、再発への恐怖、また副作用の影響で外出が億劫になるなど、さまざまな悩みを抱えている。 そして、「社会的なこと」として、仕事と治療の日程調整の悩み、それに伴う治療費に関する心配、また対人関係では、家族とのコミュニケーションや距離感に悩む場合もあることを紹介した。 最後に岸田氏は、がん患者にとって、相談できる場や人・サービスが重要であることを挙げ、特に科学的根拠に基づく正しい情報の大切さについて強く訴えかけて、発表を締め括った。 続いて中川裕子氏(大腸がん患者)が自身の経験を話した。2021年1月に直腸がんIV期と診断を受け、今も5種類目の薬物療法を続けているという中川氏。最初は、眠れない、夏でも寒い、食欲がなく痩せていく、など体調の異変を感じていたという。コロナ禍を理由に通院を控えていたものの、会社の健康診断で精密検査が必要と判断され、婦人科や消化外科での検査を経て、診断に至った。中川氏は診断当時について「体調が悪い中でたくさんのことが自分に降りかかってきて、聞くだけで精一杯でした」と話す。その後、手術をして永久ストーマを作ることとなった中川氏。自分の病気が特定され、毎日の原因不明の体調不良から解放されたことで、体も楽になり安心した、と振り返った。「大腸がんでストーマになったことは辛いことかもしれないですが、自分は受け入れるしかなかったというのが正直な気持ち。でもだからこそ、共存していくしかないんだなと思えたことで、一つ一つを乗り越えられたのかもしれません」(中川氏) 中川氏はネットでの情報検索などはほとんど行わなかったという。自分の状況が大腸がんのIV期の患者のスタンダードだと思っていたため、後から患者会などで仲間と出会い、同じような人ばかりではないと知って驚いた、と中川氏。その後、消化器がんのSNSコミュニティである「Peer Ring Blue ピアリング・ブルー」に出会い、患者同士のSNSでの交流や情報交換ができるようになったことで、気持ちの上でも転機となり、今の自分がいる、と話した。 また、自身が苦労している点として、仕事と治療の両立を挙げた。会社での理解が得られず辛い時期もありながら、働かなければ治療もできない、頑張るしかない、という状況で必死に働いた経験を語った。自身のような苦労をしている患者さんが沢山いるということへの理解が広まり、働きやすい環境が整ってほしい、と中川氏は話す。「もっともっと声を掛けあって、社会の協力が得られるように一緒に頑張っていきたいと思っています」(中川氏) 最後に中川氏は、とても体調が悪かったにも関わらず、コロナ禍ということも会って病院に行くことを躊躇っていたことが、発見の遅れに繋がったのかもしれない、と後悔を口にし、「大腸がん健診は重要なのでぜひ多くの人に受けてほしい」と話した。一方で、「がんになって嬉しい人は1人もいないけれど、がんになったことで初めて知り合えた仲間がたくさんいること、それによって今の自分がいることには感謝しています」と前向きなコメントで話を締め括った。
ニュース 大腸がん SDM

浅野理沙

東京大学薬学部→東京大学大学院薬学系研究科(修士)→京都大学大学院医学研究科(博士)→ポスドクを経て、製薬企業のメディカルに転職。2022年7月からオンコロに参加。医科学博士。オンコロジーをメインに、取材・コンテンツ作成を担当。

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