この記事の3つのポイント
・既治療の再発/難治性マントル細胞リンパ腫を対象とした第3相のSYMPATICO試験
・ブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬イムブルビカ+BCL-2阻害薬ベネクレクスタの有効性・安全性を検討
・イムブルビカ単剤と比較して無増悪生存期間を統計的有意に改善
2025年2月、医学誌『The Lancet Oncology』にて、治療歴のある再発/難治性マントル細胞リンパ腫(MCL)に対するブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬イムブルビカ(一般名:イブルチニブ)+BCL-2阻害薬ベネクレクスタ(一般名:ベネトクラクス)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のSYMPATICO試験(NCT03112174)の結果がUniversity of Texas MD Anderson Cancer CenterのProf Michael Wang氏らにより公表された。
SYMPATICO試験は、治療歴のある再発/難治性MCL患者に対して、1日1回イムブルビカ560mg+1日1回ベネクレクスタ400mg併用療法を最大2年間実施する群、もしくは1日1回イムブルビカ560mg+プラセボ併用療法を最大2年間実施する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として主治医評価の無増悪生存期間(PFS)を検証した多施設共同ランダム化二重盲検下プラセボ対照の試験である。
本試験に登録された267人の患者背景は下記の通りである。性別は女性21%(N=56人)、男性79%(N=211人)。以上の患者に対するフォローアップ期間中央値51.2ヶ月時点における結果は下記の通りである。
本試験の結果、主要評価項目であるPFSの中央値はイムブルビカ+ベネクレクスタ併用群の31.9ヶ月(95%信頼区間:22.8-47.0ヶ月)に対してイムブルビカ+プラセボ群で22.1ヶ月(95%信頼区間:16.5-29.5ヶ月)を示し、イムブルビカ+ベネクレクスタ併用群で病勢進行または死亡のリスクを35%改善した(HR:0.65,95%信頼区間:0.47-0.88,P=0.0052)。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認されたグレード3-4の有害事象(AE)は、好中球減少症がイムブルビカ+ベネクレクスタ併用群の31%(N=42/134人)に対してイムブルビカ+プラセボ群で11%(N=14/132人)、血小板減少症が13%(N=17人)に対して8%(N=10人)、肺炎が12%(N=6人)に対して11%(N=14人)を示した。
重篤な有害事象(SAE)発症率は、イムブルビカ+ベネクレクスタ併用群の60%(N=81/134人)に対してイムブルビカ+プラセボ群で60%(N=79/132人)、治療関連有害事象(TRAE)に関連した死亡は、2%(N=3人)に対して2%(N=2人)で確認された。
以上のSYMPATICO試験の結果よりProf Michael Wang氏らは「再発/難治性MCLに対するイムブルビカ+ベネクレクスタ併用は、イムブルビカ単剤療法と比較して大幅にPFSを改善し、新たな安全性の懸念も確認されませんでした」と結論付けた。
参照元:
Ibrutinib plus venetoclax in relapsed or refractory mantle cell lymphoma (SYMPATICO): a multicentre, randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 3 study(The Lancet Oncology 2025 DOI: 10.1016/S1470-2045(24)00682-X)あなたは医師ですか。