(画像はリリースより)
二つ目として、対策型がん検診推奨部位(胃、大腸、肺、乳房、子宮頸部)を、がんの発見経緯別に検診発見例と非検診発見例に分け、2023年登録数を2カ年平均登録数と比較したところ、検診発見例は101.7%であった。部位別に見ると、胃は2023年も減少傾向が継続、大腸と肺も2022年以降微増傾向があるものの2カ年平均登録数よりは低い状態が継続、一方で乳房は2021年以降増加傾向が継続していた。また、子宮頸部は2020年に減少、2021年に増加したが、2022年は再び減少に転じ、2023年は横ばいであった。
三つ目として、部位別総合病期別登録割合について、2023年登録数を2カ年平均登録数と比較したところ、胃がん、大腸がん、乳がんの病期別登録割合にほぼ変化はなかった。一方で、非小細胞肺がん(腺がん、扁平上皮がん等)はI期の割合が増加、子宮頸がんでは0・I期の割合が減少していた。この子宮頸がんの結果については、上述の検診発見例の減少が一因となり、早期発見例が減少した可能性があるという。
最後に参考として、2015年から2023年の9年間、継続して院内がん登録データの提出があった施設に限定して登録数の推移を観察した結果、2015年から2019年にかけて全がんの登録数は増加していたが、2020年は減少に転じた。その後2021年は再び2019年と同程度となり、2022年からはゆるやかに増加しているが、2020年の減少分の上乗せは見受けられていない。
この点に関して国立がん研究センターは、院内がん登録の報告数値が集計参加施設に限定されており、新型コロナウイルス感染拡大の影響を正確に把握することは難しい、と結論付けた。新型コロナウイルスの感染拡大によるがん診療への影響等は、全医療機関から情報を収集した全国がん登録等のデータによる分析が必要だ。しかしながら、即時性の点から院内がん登録による集計のメリットは大きく、今回の報告の数値に基づいて迅速な対策をとることや、全国がん登録等のデータ解析の事前情報として非常に有益であり、「今後も院内がん登録における集計を継続し、登録数の推移を確認する必要があります」としている。
参照元:
国立がん研究センター プレスリリースあなたは医師ですか。



