この記事の3つのポイント
・EGFRエクソン20挿入変異陽性の局所進行/転移性非小細胞肺がんを対象とした第3相EXCLAIM-2試験
・経口チロシンキナーゼ阻害薬モボセルチニブの有効性・安全性を検討
・化学療法と比較して優位性を示せず
2025年1月25日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にてEGFRエクソン20挿入変異陽性の局所進行/転移性非小細胞肺がんに対する初回治療としての経口チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)モボセルチニブ単剤療法の有効性、安全性を検証した第3相のEXCLAIM-2試験(NCT04129502)の結果がDana-Farber Cancer InstituteのPasi A. Jänne氏らにより公表された。
EXCLAIM-2試験は、EGFRエクソン20挿入変異陽性の局所進行/転移性非小細胞肺がん患者(N=354人)に対する初回治療として、1日1回モボセルチニブを160mg投与する群(N=179人)、もしくは3週を1サイクルとしてペメトレキセド+シスプラチンもしくはカルボプラチン併用療法を4サイクル実施後、維持療法としてペメトレキセドを投与する群(N=175人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として盲検下独立中央判定委員会(BICR)判定による無増悪生存期間(PFS)を検証した試験である。
本試験の結果、主要評価項目であるPFSの中央値は、モボセルチニブ群の9.6ヶ月に対して化学療法群で9.6ヶ月と、両群間で統計学的有意な差は確認されなかった(HR:1.04,95%信頼区間:0.77-1.39,P=0.803)。客観的奏効率(ORR)は、モボセルチニブ群の32%に対して化学療法群で30%、奏効持続期間(DOR)の中央値は、モボセルチニブ群の12.0ヶ月に対して化学療法群で8.4ヶ月を示した。
一方の安全性として、5%以上の患者で確認されたグレード3以上の有害事象(AE)は、モボセルチニブ群と化学療法群それぞれにおいて、下痢が20%対1%、貧血が6%対10%、リパーゼ増加が6%対0%、好中球数減少が1%対7%を示した。
以上のEXCLAIM-2試験の結果よりPasi A. Jänne氏らは、「主要評価項目を達成できず、モボセルチニブの化学療法に対する優位性を示すことはできませんでした」と結論付けた。
参照元:
First-Line Mobocertinib Versus Platinum-Based Chemotherapy in Patients With EGFR Exon 20 Insertion–Positive Metastatic Non–Small Cell Lung Cancer in the Phase III EXCLAIM-2 Trial(Journal of Clinical Oncology 2025 Doi:10.1200/JCO-24-01269)あなたは医師ですか。