この記事の3つのポイント
・切除不能局所進行/転移性肝細胞がんを対象とした第1b/2相MORPHEUS-Liver試験
・抗PD-L1抗体テセントリク+抗VEGF抗体アバスチンに対する
抗TIGIT抗体チラゴルマブ追加の有効性・安全性を検討
・テセントリク+アバスチンに比べてチラゴルマブ追加による奏効率の改善を示す
2025年1月21日、医学誌『The Lancet Oncology』にて、切除不能局所進行/転移性肝細胞がんに対する抗TIGIT抗体チラゴルマブ+抗PD-L1抗体テセントリク(一般名:アテゾリズマブ)+抗VEGF抗体アバスチン(一般名:ベバシズマブ)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第1b/2相MORPHEUS-Liver試験の結果がUniversity of CaliforniaのRichard S Finn氏らにより公表された。
本試験は、切除不能局所進行/転移性肝細胞がん患者に対して3週を1サイクルとしてチラゴルマブ600mg+テセントリク1200mg+アバスチン15mg/kgを投与する群(N=41人)、もしくはテセントリク1200mg+アバスチン15mg/kgを投与する群(N=18人)に2対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、安全性を比較検証した試験である。
患者背景は、年齢中央値が65.0歳、男性が79%(N=46人)、女性が21%(N=21人)、人種はアジア人が40%(N=23人)、白人が36%(N=21人)であった。
追跡期間中央値20.6ヶ月時点において、主要評価項目であるORRは、チラゴルマブ併用群の43%(95%信頼区間:27%-59%,N=17人)に対して非併用群で11%(95%信頼区間:1%-35%,N=2人)を示した。
一方の安全性として、両群で確認された全グレードの有効事象(AE)発症率はそう痒で、チラゴルマブ併用群の50%に対して非併用群で17%、関節痛は33%対11%、下痢は30%対6%をそれぞれ示した。最も多くの患者で確認されたグレード3-4のAEは、高血圧が15%対11%、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加が8%対6%、蛋白尿が5%対11%をそれぞれ示した。
重篤な有害事象(SAE)発症率はチラゴルマブ併用群の53%に対して非併用群で56%を示した。治療関連有害事象(TRAE)による死亡は、チラゴルマブ併用群で1人、非併用群で2人確認されている。
以上の結果よりRichard S Finn氏らは、「テセントリク+アバスチンに対するチラゴルマブ併用療法は、臨床的に有効である可能性を示唆しています」と結論付けた。
参照元:
Tiragolumab in combination with atezolizumab and bevacizumab in patients with unresectable, locally advanced or metastatic hepatocellular carcinoma (MORPHEUS-Liver): a randomised, open-label, phase 1b–2, study(The Lancet Oncology 2025 DOI: 10.1016/S1470-2045(24)00679-X)あなたは医師ですか。



