この記事の3つのポイント
・中間リスク群の頭頸部扁平上皮がんを対象とした第3相試験
・術後放射線療法+抗EGFR抗体アービタックスの有効性・安全性を検討
・HPV陰性集団において、術後放射線療法単独よりも無病生存期間を延長
2025年1月22日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて、中間リスク群の頭頸部扁平上皮がん(SCCHN)に対する完全切除後の術後放射線療法+抗EGFR抗体薬アービタックス(一般名:セツキシマブ)併用療法の有効性、安全性を検証した第3相試験(NCT00956007)の結果がPenn State Milton S Hershey Medical CenterのMitchell Machtay氏らにより公表された。
本試験は、中リスク群のSCCHN患者に対して、術後放射線療法(60-66Gy)+週1回のアービタックス併用群、もしくは術後放射線療法(60-66Gy)単独群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、副次評価項目として無病生存期間(DFS)、安全性を比較検証した第3相試験である。
追跡期間中央値7.2年時点において、主要評価項目であるOSは、放射線療法+アービタックス併用群で統計学的有意な改善は確認されなかった(HR:0.81,P=0.0747)。また5年全生存率は、放射線療法+アービタックス併用群の76.5%に対して放射線療法単独群で68.7%を示した。一方の副次評価項目であるDFSは、併用群で有意な改善が認められた(ハザード比:0.75,P=0.0168、5年無病生存率=71.7% vs 63.6%)。なお、併用による有効性は、ヒトパピローマウイルス(HPV)陰性のサブグループ(全体の80.2%)でのみ見られた。
一方の安全性として、グレード3-4の急性有害事象(AE)発症率は、放射線療法+アービタックス併用群の70.3%に対して放射線療法単独群で39.7%を示した(P<0.0001)。グレード3以上の後期AE発症率は、放射線療法+アービタックス併用群の33.2%に対して放射線療法群で29.0%を示した(P=0.3101)。グレード5のAEは、いずれの群でも認められなかった。
以上の結果よりMitchell Machtay氏らは、「術後放射線療法+アービタックス併用療法は、適切に選択されたHPV陰性中間リスク群のSCCHNにおける適切な選択肢です」と結論付けた。
参照元:
Postoperative Radiotherapy ± Cetuximab for Intermediate-Risk Head and Neck Cancer(Journal of Clinical Oncology 2025 Doi:10.1200/JCO-24-01829)あなたは医師ですか。