この記事の3つのポイント
・切除可能非小細胞肺がんを対象とした第3相CheckMate 816試験
・術前補助療法としてのオプジーボ+ヤーボイの有効性・安全性を検討
・化学療法と比較して長期的な抗腫瘍効果を示す
2025年1月9日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて、IB-IIIA期の切除可能非小細胞肺がん(NSCLC)に対する術前補助療法としての化学療法、抗PD-1抗体薬オプジーボ(一般名:ニボルマブ)+化学療法、オプジーボ+抗CTLA-4抗体薬ヤーボイ(一般名:イピリムマブ)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のCheckMate 816試験において、化学療法とオプジーボ+ヤーボイを比較した探索的解析の結果がDana-Farber Cancer InstituteのMark M. Awad氏らにより公表された。
本解析では、IB-IIIA期のNSCLC患者に対する術前補助療法として、2週を1サイクルとしてオプジーボを3サイクル+ヤーボイを1サイクル投与する群(N=113人)、もしくは3週を1サイクルとして化学療法を3サイクル投与する群(N=108人)を対象に、主要評価項目として無イベント生存期間(EFS)、全生存期間(OS)、病理学的奏効率(pCR)、安全性を評価した。
追跡期間の中央値49.2ヶ月時点における結果、主要評価項目であるEFSの中央値はオプジーボ+ヤーボイ併用群の54.8ヶ月(95%信頼区間:24.4ヶ月-未到達)に対して化学療法群で20.9ヶ月(95%信頼区間:14.2ヶ月-未到達)と、化学療法群に比べてオプジーボ+ヤーボイ併用群でイベント、死亡のリスクを23%改善(HR:0.77,95%信頼区間:0.51-1.15)した。3年無EFS率は、オプジーボ+ヤーボイ併用群の56%に対して化学療法群で44%を示した。
副次評価項目である3年OS率は、オプジーボ+ヤーボイ併用群の73%に対して化学療法群で61%(HR:0.73,95%信頼区間:0.47-1.14)を示した。pCRは、オプジーボ+ヤーボイ併用群の20.4%に対して化学療法群で4.6%を示した。
一方の安全性として、グレード3-4の治療関連有害事象(TRAE)発症率はオプジーボ+ヤーボイ併用群の14%に対して化学療法群で36%を示した。
以上の結果よりMark M. Awad氏らは、「切除可能NSCLC患者に対する術前補助療法としてのオプジーボ+ヤーボイ併用療法は、化学療法単剤と比較してグレードの高い有害事象の発現率を抑え、長期的な臨床効果を改善しました」と結論付けた。
参照元:
Neoadjuvant Nivolumab Plus Ipilimumab Versus Chemotherapy in Resectable Lung Cancer(Journal of Clinical Oncology 2025 Doi:/10.1200/JCO-24-0223)あなたは医師ですか。