この記事の3つのポイント
・メチル化阻害剤後ごの急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、慢性骨髄単球性白血病を対象とした第2相試験
・抗CD3/CD123二重特異性抗体Vibecotamab単剤療法の有効性・安全性を検討
・併用療法により、良好な奏効率および持続的な効果を示す
2024年12月7日-10日に米国・サンディエゴ州で開催された米国血液学会(ASH 2024)にて、DNAメチル化阻害剤(HMA)による治療後に病勢進行した急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)に対する抗CD3/CD123二重特異性抗体Vibecotamab単剤療法の有効性、安全性を検証した第II相試験の結果がUniversity of Texas MD Anderson Cancer CenterのDaniel Nguyen氏らにより公表された。
本試験では、HMA後に病勢進行しAML、MDS、CMML患者に対して、Vibecotamabを1サイクル目は1日目に0.43µg/kg、3日目に0.75µg/kg、5日目に1.1µg/kg、8日目に1.7µg/kgを漸増投与され、2サイクル目以降は1週に1回1.7µg/kgを投与した。28日サイクルで最大4サイクル投与し、主要評価項目としてMDS、CMMLコホートでは反応率(完全寛解:CR、骨髄完全寛解:mCR、部分寛解:PR、血液学的改善効果:HI、臨床的利益)を、AMLコホートではMRD陰性率を検証した。
本試験に登録された16人のMDS、3人のCMMLの患者背景は、2レジメン以上の前治療歴を有する患者が9例(47%)であり、11例(58%)が以前にベネトクラックスを使用しており、2例(11%)が以前に幹細胞移植(SCT)を受けていた。また骨髄芽球のCD123発現率中央値は78%(40-99%)であった。
19例のMDS/CMML患者のうち、13例(68%)が奏効し、12例(63%)がmCRを達成し、1例(5%)がHIを達成した。16名のMDS患者のうち、9例(56%)がmCRを達成し、そのうち4例(31%)がHIも達成、1例(6%)はHIのみを達成した。CMMLの3例はすべてmCRを達成し、うち2例はHIも達成した。最良の奏効は全例で最初のサイクルの後に生じた。またCD123発現の程度と奏効に相関は認められなかった。13例の奏効例のうち、2例は奏効継続中(6.4ヵ月と11.4ヵ月)、3例はCRL(limited count recovery:限定的な回復)で死亡、8例は再発であり、8例中6例(75%)がプロトコール治療終了後に再発した。奏効期間中央値は5.2ヵ月、全生存期間中央値は10.3ヵ月であった。
一方の本試験に登録された9人のAMLの患者背景は、9例(50%)が2ライン以上の前治療を受け、15例(83%)がベネトクラックス、7例(39%)がSCTの前治療を受けていた。またCD123芽球発現率の中央値は84%(49-99%)であった。
18例のAML患者のうち、5例(28%)がMRD陰性を示し、そのすべてが1サイクル後に効果発現を示した。奏効した5例のうち4例はベネトクラックスの前治療歴があり、3例はSCTの前治療歴があり、1例はTP53変異があった。奏効例のMRD中央値は0.2%(範囲 0.1%-1.0%)であったのに対し、非奏効例では1.4%(範囲 0.3%-3.9%)であった(P=0.009)。またCD123発現の程度と奏効に相関は認められなかった。最終追跡結果において、2例の奏効例がプロトコール治療終了後に再発し(治療終了後1.2ヵ月と5.6ヵ月)、3例はMRD陰性の寛解状態を持続している(奏効期間:4.1ヵ月、24.6ヵ月、25.6ヵ月)。
安全性として、最も多くの患者で確認された有害事象(AE)はインフュージョンリアクションでグレード1が3%、グレード2が60%、グレード3が5%を示した。また有害事象により減量を必要とした症例や試験中止となった症例はなかった。また、骨髄抑制は最小限であり、vibecotamabの先行研究と同様であった。
以上の第2相試験の結果よりDaniel Nguyen氏らは、「Vibecotamabは低芽球性高リスク骨髄性疾患において安全かつ有効な治療です。10件の再発のうち8件はプロトコール治療終了後に発生したため、Vibecotamabは奏効例に無期限に投与されるプロトコルに修正されました。またVibecotamabの有効性と重大な骨髄抑制がないことは、他の薬剤と併用する根拠になります」と結論付けた。
参照元:
Updated Results from a Phase II Study of Vibecotamab, a CD3-CD123 Bispecific T-Cell Engaging Antibody, for MDS or CMML after Hypomethylating Failure and in MRD-Positive AML(ASH 2024)あなたは医師ですか。