この記事の3つのポイント
・複数治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫を対象とした第1b相MajesTEC-2とTRIMM‑2試験
・BCMAとCD3に対する二重特異性抗体であるテクリスタマブ+ダラツムマブ+ポマリドミドの有効性・安全性を検討
・テクリスタマブとダラツムマブ、ポマリドミドの併用療法により、良好な抗腫瘍効果を示す
2024年12月7日-10日に米国・サンディエゴ州で開催された米国血液学会(ASH 2024)にて複数治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫(RRMM)を対象とした第1b相MajesTEC-2とTRIMM‑2試験において、BCMAとCD3に対する二重特異性抗体であるテクリスタマブ+ダラツムマブ+ポマリドミド併用療法の有効性、安全性を検証したコホートの結果がMedical College of WisconsinのAnita D'Souza氏らにより公表された。
MajesTEC-2試験では、プロテアソーム阻害剤およびレナリドミドを含む1-3の前治療ラインを有する症例、TRIMM‑2試験では、プロテアソーム阻害剤および免疫調節薬を含む3つ以上の前治療歴を有するか、両剤に対して抵抗性を有する症例が対象であった。
本試験に登録された27人(TRIMM-2試験に10例、MajesTEC-2試験に17例)の患者背景は、年齢中央値が62歳(35-79歳)、性別は男性が59.3%、前治療数の中央値は2レジメン、3レジメン以上の治療歴のある患者割合は33%であった。
本試験の結果、50%以上の患者で確認された全グレードの有害事象(AE)は、好中球減少症が77.8%、咳嗽が59.3%、サイトカイン放出症候群(CRS)が55.6%。15%以上の患者で確認されたグレード3/4のAEは、好中球減少症が77.8%、リンパ球減少症が22.2%、貧血が18.5%、COVID-19が18.5%、肺炎が18.5%を示した。発現が確認されたサイトカイン放出症候群(CRS)は全てがグレード1もしくは2で、管理可能であった。また、免疫細胞関連神経毒性症候群(ICANS)も1例に認められたが、管理可能であった。有害事象(AE)による治療中止率は11.1%(N=3人)。7人の死亡が確認され、1人は病勢進行、6人は感染症によるものであった。感染症で死亡した6人のうち4人は低ガンマグロブリン血症で、感染発症前に静注免疫グロブリン(IVIg)を使用していなかった。致命的な感染症は、すべてIVIg補給の推奨の強化を含む感染予防計画が実施される前に発生したものであり、それ以降は致命的な感染症は発生していない。
一方の有効性として、全奏効率(ORR)は88.5%、最良部分奏効(VGPR)以上は84.6%、完全奏効率(CR)以上は61.5%を示した。初回奏効までの期間中央値は0.95ヶ月、奏効持続期間(DOR)中央値は未到達、無増悪生存期間(PFS)中央値は26.5ヶ月を示した。
以上の第II相試験の結果よりAnita D'Souza氏らは、「テクリスタマブ+ダラツムマブ+ポマリドミドは、RRMMに対して良好な効果を示しました。また感染症に対しては、IVIg補給を含む感染予防の重要性が示唆されました」と結論付けた。
参照元:
Teclistamab, Daratumumab, and Pomalidomide in Patients with Relapsed/Refractory Multiple Myeloma: Results from the Majestec-2 Cohort a and Trimm‑2 Studies(ASH 2024)あなたは医師ですか。