2024年12月12日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて、BRCA変異陽性再発卵巣がんに対する3次治療以降のリムパーザ(オラパリブ)の有効性・安全性を検証した
第3相SOLO3試験(NCT02282020)の生存率に関する最終解析結果が発表された。
試験デザイン
対象
2回以上のプラチナ製剤を含む化学療法後、6ヵ月以降に再発したBRCA変異陽性プラチナ製剤感受性卵巣がん
レジメン
試験群:リムパーザ300 mgを1日2回経口投与(n=178)
対照群:医師が選択した非プラチナ製剤の化学療法単剤(n=88)
評価項目
主要評価項目:客観的奏効率(ORR)
副次評価項目:無増悪生存期間(PFS)、ランダム化以降2度目の増悪までの期間(PFS2)、全生存期間(OS)
結果
既にリムパーザ治療により、ORRおよびPFSの有意な改善が認められている。
今回は、OSの最終解析および探索的なBRCA復帰変異(BRCA1/2遺伝子の二次的な変異による機能回復)の解析結果が報告された。
有効性
全体集団におけるOSの中央値は、リムパーザ群で34.9ヵ月に対して化学療法群で32.9ヵ月であり、統計的な差は認めなかった(ハザード比:1.07、95%信頼区間:0.76-1.49、P=0.71)。
前治療のライン数により分けて解析した結果、2ラインの化学療法を受けた症例においては、OSの中央値がリムパーザ群で37.9ヵ月に対して化学療法群で28.8ヵ月を示し、リムパーザ群でOSの改善傾向が認められた(ハザード比:0.83、95%信頼区間:0.51-1.38。一方で、前治療として3種類以上の化学療法を受けた症例では、OSの中央値がリムパーザ群で29.9ヵ月に対して化学療法群で39.4ヵ月を示し、リムパーザ群でOSの短縮傾向が認められた(ハザード比:1.33、95%信頼区間:0.84-2.18)。
リムパーザ群に割り付けれた症例の中で、ベースラインにBRCA復帰変異が検出された症例(6例)においては、リムパーザの奏効が認められなかった。
安全性
―
結論
SOLO3での最終OS解析の結果、リムパーザと化学療法で同程度であることが示された。サブ解析から、前治療の化学療法が2ラインの場合には、OSの改善傾向が認められたが、3ライン以上では逆にOSの短縮傾向が見られた。またBRCA復帰変異が、治療成績に影響を与えている可能性が示唆された。
参照元:
Olaparib as Treatment Versus Nonplatinum Chemotherapy in Patients With Platinum-Sensitive Relapsed Ovarian Cancer: Phase III SOLO3 Study Final Overall Survival Results(J Clin Oncol .2024 doi: 10.1200/JCO.24.00933.)