この記事の3つのポイント
・初回化学療法の奏効発現が遅い低リスク若年性古典的ホジキンリンパ腫を対象とした第2相KEYNOTE-677試験
・地固め療法としての抗PD-1抗体キイトルーダの有効性・安全性を検討
・有効性・安全性ともに、更なる評価を支持する良好な結果を示す
2024年12月7日-10日に米国・サンディエゴ州で開催された米国血液学会(ASH 2024)にて、低リスク若年性古典的ホジキンリンパ腫(cHL)において、初回ABVD(ドキソルビシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ダカルバジン)療法を投与し、奏効が遅い(SER)症例に対する地固め療法として、抗PD-1抗体薬キイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)+AVD(ドキソルビシン、ビンブラスチン、ダカルバジン)+放射線療法、および維持療法としてのキイトルーダ単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相のKEYNOTE-677試験(NCT03407144)の結果がWeill Cornell MedicineのLisa Giulino Roth氏らにより公表された。
Keynote-667試験は、低リスクの若年性cHL患者に対してABVD療法を2サイクル投与し、PET/CT/MRIによる早期反応評価でDeauville scoreが4-5(SER)と判定された患者に対して、3週を1サイクルとしてキイトルーダ2mg/kgを最大200 mg(3-17歳)または200mg(18-25歳)+AVD療法を投与した。続く反応評価において、PET完全奏効(DS 1~3)の場合は 21.6 Gy、PET部分奏効(DS 4または5)の場合は 30.6-36Gyの放射線療法を受け、全例に最大17サイクルのキイトルーダによる維持療法が実施された。主要評価項目としてCheson 2007 IWG基準に基づく盲検独立中央評価(BICR)による客観的反応率(ORR)、副次的評価項目として強化療法後のPET陰性率、安全性を検証した。
本試験に登録された78人の患者のうち、初回ABVD化学療法後にSERと判定された10人が地固め療法としてのキイトルーダ+AVD療法を受け、4人の患者が完遂、1人が治療継続、5人が完全奏効(CR)達成により治療を中止した。主要評価項目であるORRは100%(95%信頼区間:69%-100%)であった。
一方の安全性として、地固め療法中に確認された治療関連有害事象(TRAE)発症率は80%(N=8人)を示し、グレード3-4のTRAEは40%(N=4人)を示した。キイトルーダ関連のTRAEは67%(N=7人)で確認され、グレード3以上のものは嘔吐、リンパ球数減少、白血球数減少であった。
以上のKeynote-667試験の結果よりLisa Giulino Roth氏らは、「今回の結果は、低リスクの若年性cHLに対する初回ABVD化学療法に早期奏効が認められない症例において、キイトルーダ+AVDの治療選択肢としての更なる評価を支持するものです」と結論付けた。
参照元:
Pembrolizumab in Children, Adolescents, and Young Adults with Low-Risk Classic Hodgkin Lymphoma (cHL) and Slow Early Response to Front-Line Chemotherapy: Updated Results from the Phase 2 Keynote-667 Study(ASH 2024)あなたは医師ですか。