この記事の3つのポイント
・再発難治性大細胞型B細胞リンパ腫を対象とした第1b/2相試験
・CD20とCD3を標的とした二重特異性抗体モスネツズマブ+抗CD79b抗体薬物複合体ポライビーの安全性・有効性の検討
・併用療法により、安全性、有効性ともに良好な改善を示す
2024年12月7日-10日に米国・サンディエゴ州で開催された米国血液学会(ASH 2024)にて、再発難治性大細胞型B細胞リンパ腫(RRLBCL)に対するCD20とCD3を標的とした二重特異性抗体モスネツズマブ+抗CD79b抗体薬物複合体(ADC)ポライビー(一般名:ポラツズマブ ベドチン)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第1b/2相試験(NCT03671018)の結果がH. Lee Moffitt Cancer Center and Research InstituteのJulio C. Chavez氏らにより公表された。
本試験は、RRLBCL(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、高悪性度B細胞リンパ腫、または形質転換濾胞性リンパ腫)患者(N=80人)に対して、モスネツズマブ+ポライビー併用療法を実施する群(N=40人)、もしくはリツキシマブ+ポライビー併用療法を実施する群(N=40人)に分け、主要評価項目としてLugano 2014基準に基づく最良奏効率(ORR)を検証した試験である。
本試験に登録された患者背景は、年齢中央値がモスネツズマブ併用群の71.5歳に対してリツキシマブ併用群で67.0歳、IPIスコア3-5の症例が48%に対して54%、Ann Arbor病期III/IVの割合が78%に対して85%、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の割合が68%に対して82%、濾胞性リンパ腫が8%に対して3%、高悪性度B細胞リンパ腫が25%に対して15%、形質転換濾胞性リンパ腫が13%に対して23%であった。また前治療歴中央値は、モスネツズマブ併用群の2回に対してリツキシマブ併用群で3回、CAR-T療法前治療は35%に対して39%、自家造血幹細胞移植(ASCT)は15%に対して23%であった。
本試験の結果、主要評価項目であるORRは、モスネツズマブ併用群の78%(95%信頼区間:61.6%-89.2%)に対してリツキシマブ併用群で50%(95%信頼区間:33.8%-66.2%)、完全奏効率(CR)は、モスネツズマブ併用群の58%(95%信頼区間:40.9%-73.0%)に対してリツキシマブ併用群で35%(95%信頼区間:20.6%-51.7%)を示した。また奏効期間中央値は、未到達に対して10.1ヶ月(HR0.40.95%%信頼区間:0.1-1.2)、無増悪生存期間中央値は未到達に対して6.4ヶ月(HR0.48.95%%信頼区間:0.2-1.0)、全生存期間中央値は両群ともに未到達であった。
一方の安全性として、30%以上の患者で確認された有害事象(AE)は、モスネツズマブ併用群で注射部位反応55%、下痢48%、倦怠感35%、便秘30%であったのに対し、リツキシマブ併用群で悪心36%、下痢33%、倦怠感33%を示した。モスネツズマブ併用群のサイトカイン放出症候群(CRS)は10%の患者で確認され、そのグレードは1もしくは2であった。
以上の結果よりJulio C. Chavez氏らは、「RRLBCL患者に対するモスネツズマブ+ポライビー併用療法は、リツキシマブ併用療法と比較して、高率なORRとCR率を示し、CRS発症率や毒性が低く、良好な結果を示しました。第3相SUNMO試験(NCT05171647)におけモスネツズマブ+ポライビー併用療法の有用性の継続評価を支持しています」と結論付けた。
参照元:
A Randomized Phase II Study of Mosunetuzumab SC Plus Polatuzumab Vedotin Demonstrates Improved Outcomes Versus Rituximab Plus Polatuzumab Vedotin in Patients (Pts) with Relapsed or Refractory (R/R) Large B-Cell Lymphoma (LBCL)(ASH 2024)あなたは医師ですか。