この記事の3つのポイント
・移植適応未治療多発性骨髄腫を対象とした第2相MajesTEC-5試験
・テクリスタマブベースの併用療法の有効性・安全性を検討
・併用療法により、管理可能な安全性プロファイルと高い臨床効果を示す
2024年12月7日-10日に米国・サンディエゴ州で開催された米国血液学会(ASH 2024)にて、新たに診断された多発性骨髄腫(NDMM)に対するダラツムマブ+レナリドミド+デキサメタゾン(DRd)療法、ダラツムマブ+レナリドミド+ボルテゾミブ+デキサメタゾン(DVRd)療法へ、BCMAとCD3を標的とした二重特異性抗体テクリスタマブ上乗せ療法の有効性、安全性を検証したマルチコホート第2相MajesTEC-5試験の結果がHeidelberg Myeloma CenterのMarc S. Raab氏らにより公表された。
MajesTEC-5試験は、移植適応NDMM患者に対して、テクリスタマブ+DRd併用療法を投与する群(Arm A,A1)、テクリスタマブ+DVRd併用療法を投与する群(Arm B)に分け、主要評価項目として有害事象(AE)、重篤な有害事象(SAE)、副次評価項目として奏効率(RR)、微小残存病変(MRD)陰性化率を検証した多施設共同の第2相試験である。
本試験に登録された49人(Arm Aは10人,Arm A1は20人、Arm Bは19人)の患者背景は、年齢中央値が18-70歳、65歳以上の患者が16.3%(N=8人)、男性が63.3%(N=31人)、白人が100%(N=49人)、ECOG PSはスコア0-1が95.9%(N=47人)であった。4.1%(N=2人)の患者が治療を拒否したことにより治療中止、6.1%(N=3人)の患者がレナリドミド治療のみを中止した。
主要評価項目であるAEに関して、10%以上の患者で確認されたグレード3-4治療関連有害事象(TRAE)発症率は、リンパ球減少症が38.8%、好中球減少症が28.6%、白血球減少症が12.2%、リパーゼ増加が10.2%、γ-グルタミルトランスフェラーゼの増加が10.2%、感染症が26.5%であった。重篤なTRAE発症率は46.9%(N=23人)の患者で確認され、最も多く確認されたのは発熱で10.2%を示した。また、サイトカイン放出症候群(CRS)は65.3%(N=32人)の患者で確認されたが、重症度はグレード1(N=26人)もしくは2(N=6人)であった。
副次評価項目であるMRD陰性化率は、3サイクルの治療を完遂した35人の患者で評価され、すべての患者でMRDの陰性化が確認された。また、6サイクルを完遂した10人の患者は微小残存病変(MRD)陰性化を維持していた。
以上のMajesTEC-5試験の結果よりMarc S. Raab氏らは「NDMM患者に対するテクリスタマブベースの併用療法は、管理可能な安全性プロファイルを示しました。また初回MRD検査にて、検査対象の全例が陰性化を達成し、幹細胞の動員・採取も可能でした」と結論付けた。
参照元:
Phase 2 Study of Teclistamab-Based Induction Regimens in Patients with Transplant-Eligible (TE) Newly Diagnosed Multiple Myeloma (NDMM): Results from the GMMG-HD10/DSMM-XX (MajesTEC-5) Trial(ASH 2024)あなたは医師ですか。