この記事の3つのポイント
・膵管腺がんを対象とした第3相のESPAC4試験の長期追跡結果
・術後療法としてのゲムシタビン+カペシタビン併用療法の有効性・安全性を検討
・ゲムシタビン+カペシタビン併用療法は、ゲムシタビン単剤と比較して、長期追跡後も生存期間の改善を示す
2024年12月5日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて膵臓がん(膵臓腺がん)患者に対する術後療法としてのゲムシタビン+カペシタビン併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のESPAC4試験(ISRCTN96397434)の結果がUniversity of LiverpoolのDaniel H. Palmer氏らにより公表された。
ESPAC4試験は、膵管腺がん患者(N=732人)に対する術後療法としてゲムシタビン単剤を投与する群(N=367人)、もしくはゲムシタビン+カペシタビン併用療法を実施する群(N=365人)に1対1の割合で無作為に振り分け、評価項目として全生存期間(OS)を検証した第3相試験である。既に併用療法によるOSの改善が示されていたが、今回は長期追跡後のOSの結果が報告された。
追跡期間中央値104ヵ月(101-108)時点におけるOSの中央値は、全患者群で29.5ヶ月(95%信頼区間:27.5-32.1ヶ月)、ゲムシタビン単剤群で28.4ヶ月(95%信頼区間:25.2-32.0ヶ月)、ゲムシタビン+カペシタビン併用群で31.6ヶ月(95%信頼区間:26.5-38.0ヶ月)を示した(HR:0.83,95%信頼区間:0.71-0.98,P=0.031)。
R0切除を達成した患者群におけるOSの中央値は、ゲムシタビン単剤群の28.4ヶ月(95%信頼区間:25.2-32.0ヶ月)対してゲムシタビン+カペシタビン併用群で49.9ヶ月(95%信頼区間:39.0-82.3ヶ月)を示した(HR:0.63,95%信頼区間:0.47-0.84,P=0.002)。
またリンパ節転移陰性群における5年全生存率は、ゲムシタビン単剤群の53%(95%信頼区間:42%-66%)対してゲムシタビン+カペシタビン併用群で59%(95%信頼区間:49%-71%)であり、併用群で有意に高い傾向が認められた(HR:0.63,95%信頼区間:0.41-0.98,P=0.04)。一方、リンパ節転移陽性群では両群に有意な差は認められたなかった(P=0.225)。
以上の結果よりDaniel H. Palmer氏らは、「ゲムシタビン+カペシタビン併用療法は、mFOLFIRINOX療法へ適応がない場合の標準治療になり得る可能性が示されました。また探索的解析から、特にR0切除症例およびリンパ節転移陰性症例において、効果が高いことが示唆されました」と結論付けた。
参照元:
Pancreatic Adenocarcinoma: Long-Term Outcomes of Adjuvant Therapy in the ESPAC4 Phase III Trial(Journal of Clinical Oncology 2024 Doi: 10.1200/JCO.24.01118)あなたは医師ですか。