この記事の3つのポイント
・未治療の早期慢性リンパ性白血病を対象とした第3相のCLL12試験
・BTK阻害薬イムブルビカ単剤療法の有効性・安全性を検討
・イムブルビガは病気の進行を遅らせるが、生存率の改善は示さず
2024年11月26日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて、未治療の早期慢性リンパ性白血病(CLL)に対するBTK阻害薬イムブルビカ(一般名:イブルチニブ)単剤療法の有効性、安全性を検証した第3相のCLL12試験(NCT02863718)の結果がUniversity Hospital CologneのPetra Langerbeins氏らにより公表された。
CLL12試験は、無症候性で治療歴のないBinet病期Aの進行リスクが高いCLL患者(N=363人)において、1日1回イムブルビカ420mg単剤を投与する群(N=182人)、またはプラセボを投与する群(N=181人)に1対1の割合で無作為化に振り分け、更に、低リスクCLL患者152人を経過観察群に振り分け、無イベント生存率、無増悪生存率、次治療までの期間、全生存率と安全性を評価した二重盲検下試験である。
本試験の結果、観察期間中央値が69.3カ月の時点で、イブルチニブは症候性に進行するまでの期間を統計的有意に改善した(HR:0.276,95%信頼区間:0.188-0.407,P<0.001)。5年全生存率は、イムブルビカ単剤群で93.3%(95%信頼区間:89.3%-97.3%)に対してプラセボ群で93.6%(95%信頼区間:89.5%-97.7%)、経過観察群で97.9%(95%信頼区間:95.6%-100%)を示し、イムブルビカによる生存率の改善は認められなかった。
安全性として、重篤な有害事象(SAE)発症率はイムブルビカ単剤群の99.4%に対してプラセボ群で60%、経過観察群で60%を示した。また、イムブルビカ単剤群において、12件の死亡のうち1件がCLLの関連死であったのに対し、プラセボ群では14件の死亡のうち4件がCLLの進行もしくはRichter形質転換によるものであった。
以上のCLL12試験の結果よりPetra Langerbeins氏らは、「早期CLLに対するイムブルビカは、プラセボと比較して病気の進行を遅らせましたが、観察期間中の死亡件数が少なかったことから、生存率の改善は示されませんでした。リスク因子関わらず、経過観察が依然として標準治療です」と結論付けた。
参照元:
Ibrutinib in Early-Stage Chronic Lymphocytic Leukemia: The Randomized, Placebo-Controlled, Double-Blind, Phase III CLL12 Trial(Journal of Clinical Oncology 2024 Doi:10.1200/JCO.24.00975 )あなたは医師ですか。