この記事の3つのポイント
・進行性子宮内膜がんを対象とした第3相のENGOT-en9/MK-7902-001試験
・初回治療における抗PD-1抗体キイトルーダ+マルチキナーゼ阻害剤レンビマの有効性・安全性を検討
・キイトルーダ+レンビマは、化学療法と比較して、生存期間を延長せず
2024年11月26日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて、進行性子宮体がん(子宮内膜がん)に対するマルチキナーゼ阻害薬レンビマ(一般名:レンバチニブ)+抗PD-1抗体薬キイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のENGOT-en9/MK-7902-001試験(NCT03884101)の結果がMedical University of InnsbruckのChristian Marth氏らにより公表された。
本試験は、未治療もしくはプラチナ製剤ベースの抗がん剤による術前/術後療法から6ヶ月以上病勢進行が認められない進行性子宮内膜がん患者(N=842人)に対して、3週を1サイクルとして1日1回レンビマ20mg+キイトルーダ200mg併用療法を実施する群(N=420人うちミスマッチ修復機能正常(pMMR)症例320人)、もしくは3週を1サイクルとしてパクリタキセル175mg/m2+カルボプラチン6mg/ml併用療法を実施する群(N=422人うちpMMR症例322人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を比較検証した試験である。
本試験の結果、主要評価項目であるpMMR群におけるPFSは、レンビマ+キイトルーダ併用群の9.6ヶ月(95%信頼区間:8.2-11.9ヶ月)に対してパクリタキセル+カルボプラチン併用群で10.2ヶ月(95%信頼区間:8.4-10.5ヶ月)であり、有意な差は認められなかった(HR:0.99,95%信頼区間:0.82-1.21)。
全患者群におけるPFSは、レンビマ+キイトルーダ併用群の12.5ヶ月(95%信頼区間:10.3-15.1ヶ月)に対してパクリタキセル+カルボプラチン併用群で10.2ヶ月(95%信頼区間:8.4-10.4ヶ月)と、パクリタキセル+カルボプラチン併用群に比べて病勢進行または死亡のリスクを9%減少した(HR:0.91,95%信頼区間:0.76-1.09)。
もう1つの主要評価項目であるpMMR群におけるOSの中央値は、レンビマ+キイトルーダ併用群の30.9ヶ月(95%信頼区間:25.4-37.7ヶ月)に対してパクリタキセル+カルボプラチン併用群で29.4ヶ月(95%信頼区間:26.2-35.4ヶ月)であった。また、全患者群における全生存期間OSの中央値は、レンビマ+キイトルーダ併用群の37.7ヶ月(95%信頼区間:32.2-43.6ヶ月)に対してパクリタキセル+カルボプラチン併用群で32.1ヶ月であった(95%信頼区間:27.2-35.7ヶ月)。
一方の安全性として、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は、レンビマ+キイトルーダ併用群の79%に対してパクリタキセル+カルボプラチン併用群で67%を示した。
以上のENGOT-en9/MK-7902-001試験の結果よりChristian Marth氏らは、「進行性子宮内膜がんに対する初回治療としてのレンビマ+キイトルーダ併用療法は、PFSおよびOSの統計的有意な改善を認めませんでした」と結論づけた。
参照元:
First-Line Lenvatinib Plus Pembrolizumab Versus Chemotherapy for Advanced Endometrial Cancer: A Randomized, Open-Label, Phase III Trial(Journal of Clinical Oncology 2024 Doi: 10.1200/JCO-24-01326)
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