この記事の3つのポイント
・進展型小細胞肺がんを対象とした第3相のEXTENTORCH試験
・初回治療における抗PD-1モノクローナル抗体トリパリマブ+エトポシド+プラチナベースの化学療法の有効性・安全性を検討
・化学療法にトリパリマブを追加することで、PFS、OSともに有意に改善
2024年11月24日、医学誌『JAMA Oncology』にて、進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)に対する初回治療としての抗PD-1モノクローナル抗体トリパリマブ+エトポシド+プラチナベースの化学療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のEXTENTORCH試験(NCT04012606)の結果がJilin Cancer HospitalのYing Cheng氏らにより公表された。
EXTENTORCH試験は、ES-SCLC患者に対する初回治療に対して、3週を1サイクルとしてトリパリマブ240mg+エトポシド+プラチナベースの化学療法を4~6サイクル実施し、維持療法としてトリパリマブ単剤を投与する群、もしくは3週を1サイクルとしてプラセボ+エトポシド+プラチナベースの化学療法を4~6サイクル実施し、維持療法としてプラセボ単剤を投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を比較検証した多施設共同二重盲検プラセボ対照の第3相試験である。
本試験に登録された442人の患者背景は、年齢中央値が63歳(33-77歳)、男性が82.8%(N=366人)であった。
同試験の結果、プラセボ+エトポシド+化学療法群に比べてトリパリマブ+エトポシド+化学療法群は、主要評価項目であるPFSを有意に改善し、病勢進行または死亡のリスクを33%減少させた(HR:0.67,95%信頼区間:0.54-0.82,P<0.001)。
また、OSの中央値はトリパリマブ+エトポシド+化学療法群の14.6ヶ月(95%信頼区間:12.9-16.6ヶ月)に対してプラセボ+エトポシド+化学療法群で13.3ヶ月(95%信頼区間:11.8-14.4ヶ月)と、トリパリマブ+エトポシド+化学療法群は死亡のリスクを20%減少させた(HR:0.80,95%信頼区間:0.65-0.98,P=0.03)。
一方の安全性として、グレード3以上の治療有害事象(TRAE)発生率は、トリパリマブ+エトポシド+化学療法群の89.6%に対してプラセボ+エトポシド+化学療法群で89.4%を示した。
以上のEXTENTORCH試験の結果よりYing Cheng氏らは、「ES-SCLCにおける初回化学療法にトリパリマブを追加することで、PFS、OSともに有意に改善し、新しい治療選択肢となることを裏付ける結果となりました」と結論づけた。
参照元:>
Toripalimab Plus Chemotherapy as a First-Line Therapy for Extensive-Stage Small Cell Lung Cancer
The Phase 3 EXTENTORCH Randomized Clinical Trial(JAMA Oncology 2024 doi:10.1001/jamaoncol.2024.5019)あなたは医師ですか。



