この記事の3つのポイント
・2種類以上のチロシンキナーゼ阻害剤後の慢性骨髄性白血病またはフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病を対象とした第1b相試験
・第3世代BCR-ABLチロシンキナーゼ経口阻害薬オルベレンバチニブの薬物動態、安全性、有効性、および推奨用量を検討
・オルベレンバチニブは、複数の治療歴を有する症例においても、安全で顕著な抗腫瘍効果を示す
2024年11月24日、医学誌『JAMA Oncology』にて、複数治療歴のある慢性骨髄性白血病(CML)、フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(ALL)に対するオルベレンバチニブ単剤療法の薬物動態、安全性、有効性、および推奨用量を検証した第1b相試験(NCT04260022)の結果が The University of Texas MD Anderson Cancer CenterのElias Jabbour氏らにより公表された。
本試験は、2種類以上のチロシンキナーゼ阻害剤に対して耐性または不応のCMLまたはフィラデルフィア染色体陽性AML患者に対して、28日を1サイクルとして1日おきにオルベレンバチニブを30mg、40㎎、50mg投与する群に無作為に割付、要評価項目として薬物動態、忍容性、安全性を検証した試験である。本試験に登録された80人の患者背景は、男性が58%(N=46人)、年齢中央値が54歳(21-80歳)であった。
本試験の結果、少なくとも1種類以上の治療関連有害事象(TRAE)を発症した患者は75%(N=60人)、グレード3以上のTRAE発症率は40%(N=32人)、重篤な有害事象(SAE)発症率は15%(N=12人)を示した。10%以上の患者で確認されたTRAEは、血中クレアチンホスホキナーゼ上昇(全グレードが39%、グレード3以上が13%)、血小板減少症(全グレードが29%、グレード3以上が18%)を示した。
評価可能なCML患者のうち、細胞遺伝学的完全奏効率(CCyR)は61%(95%信頼区間:46.1%-74.2%)、分子生物学的大奏効率(MMR)は42%(95%信頼区間:29.6%-55.9%)を示した。なお、BCR-ABL遺伝子T315I変異の有無による奏効率の差は確認されなかった。
ポナチニブ治療歴のある患者26人のCCyRは58%(95%信頼区間:36.9%-76.6%、MMRは37%(95%信頼区間:19.9%-56.1%)を示した。アシミニブ治療歴のある患者8人のCCyRは50%(95%信頼区間:15.7%-84.3%)、MMRは33%(95%信頼区間:9.9%-65.1%)を示した。なお、T315I変異を持たない患者を対象とした第3相試験の推奨投与量は、30mgで隔日投与と決定された。
以上の結果よりElias Jabbour氏らは、「2種類以上のチロシンキナーゼ阻害剤に対して耐性または不応のCMLまたはフィラデルフィア染色体陽性AML患者に対して、オルベレンバチニブは良好な薬物動態プロファイルを示し、忍容性も概ね高いことが示されました。また、T315I変異の有無にかかわらず良好な抗腫瘍効果が認められ、新しい治療選択肢になり得る可能性が示唆されました」と結論づけた。
参照元:
Olverembatinib After Failure of Tyrosine Kinase Inhibitors, Including Ponatinib or Asciminib(JAMA Oncology 2024 doi:10.1001/jamaoncol.2024.5157)あなたは医師ですか。



