この記事の3つのポイント
・HER2陰性の進行胃/食道胃接合部がんを対象とした第3相のARMANI試験
・維持療法としてのサムライザ+パクリタキセルの有効性・安全性を検討
・サムライザ+パクリタキセルにより無増悪生存期間が有意に改善
2024年11月15日、医学誌『The Lancet Oncology』にて、HER2陰性の進行胃/食道胃接合部がんに対する維持療法としての抗VEGFR2モノクローナル抗体サイラムザ(一般名:ラムシルマブ)+パクリタキセル併用療法の有効性、安全性を検証した第3相のARMANI試験(NCT02934464)の結果がFondazione IRCCS Istituto Nazionale dei TumoriのGiovanni Randon氏らにより公表された。
本試験は、FOLFOX(ロイコボリン/フルオロウラシル/オキサリプラチン)またはCAPOX(カペシタビン/オキサリプラチン)を3か月間投与後、病勢が安定したHER2陰性の進行胃/食道胃接合部がん患者に対して、28日を1サイクルとして1、15日目にサイラムザ8mg/kg+1、8、15日目にパクリタキセル80mg/m2を投与する群、もしくはオキサリプラチンベースの化学療法(FOLFOXまたはCAPOX)を12週間投与し、その後フルオロピリミジンを投与する群(継続投与群)に1:1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として安全性等を比較検証した多施設共同オープンラベルランダム化の第3相試験である。
本試験に登録された280人の患者背景は、白人が100%、男性が64%(N=180人)、女性が36%(N=100人)であり、今回は追跡期間中央値が43.7ヶ月時点の結果が報告された。
主要評価項目であるPFSの中央値は、サイラムザ+パクリタキセル併用群の6.6ヶ月(95%信頼区間:5.9–7.8ヶ月)に対して継続投与群で3.5か月(95%信頼区間:2.8–4.2ヶ月)と、サイラムザ+パクリタキセル併用群で病勢進行または死亡のリスクが39%減少(HR:0.6,95%信頼区間:0.48–0.79,P=0.0002)した。また、24ヶ月Restricted mean survival time (RMST)を解析を実施した結果は、サイラムザ+パクリタキセル併用群の8.8ヶ月(95%信頼区間:7.7–9.9ヶ月)に対して維持療法群で6.1ヶ月(95%信頼区間:5.0–7.2ヶ月)を示した(P=0.0010)。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認されたグレード3/4の治療関連有害事象は、好中球減少症がサイラムザ+パクリタキセル併用群の26%に対して維持療法群で10%、末梢神経障害が6%に対して7%、動脈性高血圧が6%に対して0%を示した。重篤な有害事象は、サイラムザ+パクリタキセル併用群の20%に対して11%、これらのうち治療関連有害事象は、サイラムザ+パクリタキセル併用群で1%(肺塞栓症)、維持療法群で1%(口内炎および貧血)であった。なお、治療関連有害事象による死亡は確認されなかった。
以上のARMANI試験の結果よりGiovanni Randon氏らは、「サムライザ+パクリタキセルによる維持療法は、免疫療法や分子標的薬が適応とならないHER2陰性の進行胃/食道胃接合部がんに対する潜在的な治療戦略となる可能性があります」と結論付けた。
参照元:
Ramucirumab plus paclitaxel as switch maintenance versus continuation of first-line oxaliplatin-based chemotherapy in patients with advanced HER2-negative gastric or gastro-oesophageal junction cancer (ARMANI)(The Lancet Oncology 2024 DOI: 10.1016/S1470-2045(24)00580-1)あなたは医師ですか。